塩野七生著「ローマ人の物語19」2024年04月25日

 塩野七生著「ローマ人の物語19」を再読した。この巻は初代ローマ皇帝・アウグストゥス亡き後の4人の「悪名高き皇帝たち」の第3部・4代皇帝クラウディウスの物語である。
 神君アウグストゥスの血を引く24歳の若き3代皇帝カリグラは、4年足らずの治世での数々の過ちの末に近衛軍団大隊長ケレアを中心とした20人前後の兵士たちによって殺害される。
 カリグラの突然の死の後を継いだ4代皇帝は、カリグラの叔父でもあった50歳の”歴史家”クラウディウスだった。予期せぬ形で皇帝に就任したクラウディウスは13年間の治世を誠実に果たし、カリグラが毀損した帝国の信頼を回復するとともに直面する問題や課題を着実に解決した。史実に学ぶ誠実さと理性が根底にあり”歴史家皇帝”の面目躍如たるものがあった。悪名高き4人の皇帝の中で、ティベリウスと並んで”悪名”と呼ぶのを躊躇わせる皇帝だったと思えた。
 そのクラウディウスは悪妻アグリッピーナの企みによって悔やまれる不運な最後を迎える。アグリッピーナが自分の息子でクラウディウスの養子となったネロを後継皇帝にするための企みの犠牲となった。在位13年目の10月にクラウディウスは妻の仕組んだ毒きのこを食べてあっけなくこと切れた。

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