市の民生委員全体研修会の消化不良2017年11月23日

 毎年この時期に市の民生委員・児童委員全体研修会が開催される。例年、アミティホールの広大な会場を500人前後の参加者が埋める。
 挨拶や市長表彰等の式典の後、2時半から講演が始まった。講師は関西福祉大学准教授の藤原慶二氏で「これからの地域福祉(民生委員制度100周年を迎えて)」をテーマとした講演だった。冒頭この講演に際して事前に依頼していた講師が講演できなくなるという事情があり急遽、藤原氏にお願いしたという経過が伝えられていた。
 講演内容は、率直に言えば消化不良で物足りなかった。急遽登板となった講師の準備不足は否めない。内容の前半は100周年を意識して大阪府で発祥した「方面委員制度」に関するもので、後半がこれからの地域福祉に向けての地域包括ケアを中心とし民生委員の関わり方に関するものだった。
 「これからの地域福祉」については国会で審議中の「地域包括ケア強化法案」の動向が鍵となる。その骨子は「『我が事・丸ごと』地域共生社会」である。地域住民による助け合い(互助)を「我が事」として、公的支援では対応できない人や、公的制度から切り捨てられる人たちの支援を地域住民や社協等の社会福祉法人の「互助」に対応させる。更に既存制度の縦割りの「丸ごと」化(規制緩和)することで、生産性と効率性を向上させる仕組みとい面を持つ。
 講演ではこうした側面には直接触れることはなく、「我が事・丸ごと」が「他人事・丸投げ」になりかねないとの危惧が述べられたのみである。他方で、今後の住民主体の地域福祉にむけて民生委員が重要な役割を担っている点が指摘されたが、どの分野のどんな点に関わるべきかについての具体論は聞けなかった。