花ちゃん来訪二日目である。朝食を済ませて思いついて花ちゃんに声をかけた。「花ちゃん！母ちゃんが子供の時に逆上がりの稽古をした公園の鉄棒をしに行こうか？」。先日、初めて逆上がりができたばかりの花ちゃんは即座に同意して、二人で徒歩２分ほどの住宅街の公園に出かけた。鉄棒に近づくにつれた花ちゃんの足取りが重くなる。尋ねると「虫がいる」と怖がっている。鉄棒周辺を蠅のようなたくさんの小さな虫が飛び回っていた。人一倍虫が嫌いな花ちゃんである。こうなるとなだめすかしても駄目だった。逆上がり挑戦を断念してすごすごと引き帰した。
　午後からは昼過ぎにやってきた父ちゃん持参のＤＶＤ「鬼滅の刃」の鑑賞に付き合った。上映時間２時間の”無限列車編”である。あのあまりにも有名な大ヒットアニメを一度は観ておくのも悪くないと思った。始まった途端、花ちゃんが身振りを交えて大声で解説をしたりセリフをしゃべりだした。よくぞ画面と同じセリフを覚えているものだと感心した。母ちゃんが何度も観ているから覚えてしまってるんやとネタばらしする。
　途中眠気に誘われながら何とか最後まで観終えた。結局、ストーリーの共感や映像美などの感動はトント湧かなかった。花ちゃんの喜びはおろか世間の評判とのギャップは埋めがたい。