復刻版②採用面接傑作集 ― 2009年09月23日
復刻版日記・第2作である。11年前、私は出身企業の部長職だった。景気が順調だった当時は毎年春には求職に対して新卒の応募が殺到していた。人事部だけでは手が回らず、各部の責任者が採用面接に駆り出されていた。面接官が質問役と記入役の2人一組で4~5人の学生相手に集団面接をする。その際に見聞した採用面接の傑作集である。
【その1】「当社の志望動機を聞かせて下さい。」「ワタクシは、(この場面ではボクとかワタシとは決して言わないものらしい。日常用語とは到底思えないワタクシなのである。)昔から人と接するのが好きでして接客業に絞って応募をしております。」 でもって事前提出の面接表の「他社での就職活動の状況欄」に目をやると『大阪府警』の文字が飛び込む。(オイオイ、どこが接客業に絞ってなんだ?まてよ、考えてみれば警察官も接客業か。接客相手が消費者か容疑者かの違いだけか。マッいいか!)
【その2】先ほどから緊張の故か、しどろもどろの受け答えで明らかに×マークのA君への最後の質問。「それでは貴方のセールスポイントをどうぞ。」「実はワタクシは、大学受験で一度失敗しました。それ以来二度と失敗はしないことを信条に頑張ってきました。」面接官は、思わず心の中で叫んでしまった。『君は既に2度目の失敗をおかしている!』
【その3】 「ゼミでの学習内容と、それを通してあなたが学んだことを紹介して下さい。」あまり勉強している風にも見えないB君への質問。「(例によって)ワタクシは、金融・証券ゼミを専攻いたしました。そして今日の日本経済における証券業界の状況を勉強いたしました。」(証券業界に未曽有の危機が訪れていた。ナルホド、ナルホド)「そのことを通して私が学んだことは・・・・」(ウンッ)「証券業界の就職活動はやめておこうと言うことです。」(ダハ~ッ。勉強せんと分からんことかッ!)
【シリアスなテーマ】 最後に予期せぬ事態でのシリアスな体験。5人1組の最後の学生は女子大生。ふと見るとスモークグラスの下の両目は明らかに開いていない。一瞬動悸が早くなる。事前提出の面接表はと見ると・・・問題はない。チャント書けている。質問役は相方の番。面接が始まった。彼女へも型通りの質問。(相方も心なしか緊張しているかにみえる。動揺の色は隠せない)。人事からは事前の連絡は何もない。目が不自由なのかどうか確認すべきでは?その点をコメントした上での判断を提出すべきでは。逡巡の間も面接はドンドン進む。意を決して口を挟んだ。「外見上は目が不自由なように見えますがその点はいかがですか?」「ハイ。不自由です。履歴書にはその旨書いておきました」「面接表はキチンと書かれていますネ」「その位は大丈夫なんです」。物怖じしないはきはきした受け答えであった。ハンディキャップを何とか乗越えようという懸命さが伝わる。聞いて良かった。面接が終わり、ドアに一番近い彼女は、男子4人を先に通し最後の挨拶をすませ、爽やかに姿を消した。 (1998年4月10日)
【その1】「当社の志望動機を聞かせて下さい。」「ワタクシは、(この場面ではボクとかワタシとは決して言わないものらしい。日常用語とは到底思えないワタクシなのである。)昔から人と接するのが好きでして接客業に絞って応募をしております。」 でもって事前提出の面接表の「他社での就職活動の状況欄」に目をやると『大阪府警』の文字が飛び込む。(オイオイ、どこが接客業に絞ってなんだ?まてよ、考えてみれば警察官も接客業か。接客相手が消費者か容疑者かの違いだけか。マッいいか!)
【その2】先ほどから緊張の故か、しどろもどろの受け答えで明らかに×マークのA君への最後の質問。「それでは貴方のセールスポイントをどうぞ。」「実はワタクシは、大学受験で一度失敗しました。それ以来二度と失敗はしないことを信条に頑張ってきました。」面接官は、思わず心の中で叫んでしまった。『君は既に2度目の失敗をおかしている!』
【その3】 「ゼミでの学習内容と、それを通してあなたが学んだことを紹介して下さい。」あまり勉強している風にも見えないB君への質問。「(例によって)ワタクシは、金融・証券ゼミを専攻いたしました。そして今日の日本経済における証券業界の状況を勉強いたしました。」(証券業界に未曽有の危機が訪れていた。ナルホド、ナルホド)「そのことを通して私が学んだことは・・・・」(ウンッ)「証券業界の就職活動はやめておこうと言うことです。」(ダハ~ッ。勉強せんと分からんことかッ!)
【シリアスなテーマ】 最後に予期せぬ事態でのシリアスな体験。5人1組の最後の学生は女子大生。ふと見るとスモークグラスの下の両目は明らかに開いていない。一瞬動悸が早くなる。事前提出の面接表はと見ると・・・問題はない。チャント書けている。質問役は相方の番。面接が始まった。彼女へも型通りの質問。(相方も心なしか緊張しているかにみえる。動揺の色は隠せない)。人事からは事前の連絡は何もない。目が不自由なのかどうか確認すべきでは?その点をコメントした上での判断を提出すべきでは。逡巡の間も面接はドンドン進む。意を決して口を挟んだ。「外見上は目が不自由なように見えますがその点はいかがですか?」「ハイ。不自由です。履歴書にはその旨書いておきました」「面接表はキチンと書かれていますネ」「その位は大丈夫なんです」。物怖じしないはきはきした受け答えであった。ハンディキャップを何とか乗越えようという懸命さが伝わる。聞いて良かった。面接が終わり、ドアに一番近い彼女は、男子4人を先に通し最後の挨拶をすませ、爽やかに姿を消した。 (1998年4月10日)

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