NHK土曜ドラマ「再生の町」2009年09月28日

 前政権が抱え込んでいた様々な悪弊が次々に暴かれている。今朝の新聞は日航の再建支援問題に関連して国交相の「空港整備特別会計の抜本的見直し」発言を伝えている。神戸空港、静岡空港、茨城空港とどう考えても過剰で不要な空港建設が続いていた。多くの国民が疑問と不信感を寄せていた筈だ。政権交代を経てその実態が暴露された。ダム建設に次ぐ空港建設という巨大公共事業の無責任な利権構造の実態とその温床が暴かれた。
 そんな世相の続いていた一昨日の夜、NHK土曜ドラマ「再生の町」を観た。連続5回の最終回だった。財政破綻に追い込まれた大阪の架空の地方都市・なみはや市を舞台とした再建物語である。利権がらみの開発型公共事業に翻弄された果ての破綻だった。絶妙のタイミングの骨太で見応えのあるドラマだった。
 開発優先の公共事業が多くの地方都市で財政破綻を招いてきた。財政再建のための施策は、福祉、医療、教育といった聖域にまで及び市民の生命線すらも脅す。ドラマはそんな現に起っている地方都市の財政再建の生々しい実態を映し出しているかのようだ。父親であった前市長が推進してきたニュータウン計画の継続か凍結かを巡って激しい論争が繰り広げられる。ここでも、前政権の負の遺産を巡る対応がテーマとなる。一度開始された公共事業を止めることの困難さが浮き彫りされる。ニュータウン計画を凍結すれば市民の現在の最低限の生命線が維持される。この論争に決着を着けたのは公開部局折衝という市民を巻き込んだ公開論争である。ニュータウン計画の凍結が支持された。
 私たち庶民が直面している今日的テーマが随所に盛り込まれたドラマだった。何よりも、ふるさとを愛しふるさとをまもり育るために何が必要かが問われている。結局私たち市民を巻き込んだふるさとづくり抜きにはふるさとは再生しない。それを暗示するかのようにドラマは「なみはや祭り」の伝統的な盆踊りで盛り上がるラストシ-ンを迎えた。