深秋の香り2009年09月25日

 初秋の風景がいつの間にか深秋の装いを羽織っていた。抜けるような青空の澄み切った空気の中を歩みを進めた。あちこちで甘酸っぱい金木犀の艶っぽい香りが漂っている。季節の香りの中でこの金木犀ほどのインパクトのある香りがほかにあるだろうか。透明な空気がその香りを一直線に鼻先まで運んでくる。
 隣町の田園地帯にやってきた。白い煙がぼんやりした幕を張っている。無風の空に張り付いたように固定した煙の幕が不思議な風景をつくり出していた。近づくにつれ焦げた臭いが鼻につく。刈入れた稲を脱穀した後の籾殻を燃やしているのだろう。まだ稲穂が実っている田圃がある一方で早稲の田圃の畦道に沿って焦げた籾殻が黒い縁取りをしている。そのきなくさい臭いもまた深秋の香りを味付けしているようだ。