ゼレンスキー大統領の重圧と葛藤2022年03月25日

 数ある世界の大統領の中で今最も注目を集め支持されている大統領はこの人をおいてほかにない。ウクライナのゼレンスキー大統領である。
 2019年に大統領に就任するまではコメディアンだったという異色の人物である。大統領就任直後に実施された議会選挙では彼の立ちあげた新党が424議席中240議席以上を占める圧勝をした。ところがいかんせん政治には素人にすぎない彼は就任以降は内政や外交でのつまづきで支持率は低迷した。
 そして就任3年目の2022年2月、彼の政治活動を根底から震撼させる事態が襲った。ロシアのウクライナ侵攻である。彼は首都にとどまり、国民を鼓舞する抗戦のメッセージを送り続けた。支持率は急上昇し、世論調査では91%もの国民が支持した。侵攻後1カ月を経て今尚ウクライナはロシア軍に対峙し徹底抗戦を続けている。
 ゼレンスキー大統領の心情を推測した。過酷な選択を日々迫られている。ロシア軍の無差別攻撃の前に国民の多くの命が失われている。それでも尚、国の存続のためには徹底抗戦を鼓舞するしかない。他方でプーチン・ロシア大統領の最優先の暗殺の標的として自身の命の危険も差し迫った現実である。彼の心の内には「抗戦」と「撤収」の選択肢が揺れ動いているに違いない。それは決して表には出せない心情である。
 彼の「抗戦」と「撤収」という選択肢についての途方もない重圧と緊張感を思いやった。暗殺の恐怖と闘う葛藤に心を寄せた。結局それはどこまでも彼自身が受止め判断するしかない。誰もそのことをとやかく言えない。
 世界で最も注目を集め支持されている大統領は、世界で最も過酷な選択を日々迫られている大統領でもある。

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