「基礎から学ぶ認知症」講座の確かな手応え2022年11月03日

 住宅街の自治会主催の文化祭がコロナ禍で2年間のブランクを経て3年ぶりに開催された。開催直後に私の認知症サポーター養成講座を開講した。市社協所管の講座であり教材手配もあることから事前申込み制で受講を募ったところ、先着40名定員に対して42名の申込みがあった。10時15分の開講を前に受付では当日参加の方の多さが目立った。予約者2名の欠席があったが、それを大きく上回る10名の当日受講者があり、結局50名もの受講者と大盛況だった。
 過去数年間、文化祭開講直後に私の郷土史講座が続き大勢の受講者があることから、開講前に自治会長の文化祭開催の挨拶が恒例となっていた。2年間のブランクでそうした事が引き継がれていないと思われたので、私から提案し急遽開講前の自治会長挨拶の機会が設けられた。
 いよいよ開講である。冒頭、時間をとって”講座の狙い”を話した。
 「『認知症サポーター養成講座』というタイトルをサブタイトルにし、『基礎から学ぶ認知症』をメインタイトルとした。受講者の多くは「サポーターになりたいわけじゃない」という気分と思う。知りたいのは「物忘れがひどくなった!ひょっとしたら…‥?」「最近、母親の様子がおかしい!どうすればいいの!」「お友だちが認知症になった!どう接すればいいの?」といったことと思う。「認知症の基礎的な知識を知りたい」というニーズに沿って、『基礎から学ぶ認知症』 とした。
 講座ではその上で認知症の町ぐるみの支援の必要性を伝えたいと思う。そこで初めて「認知症の地域の見守りや支援って、どうするの?」というテーマに繋がり、『認知症サポーター養成講座』の本来のテーマとなる。
 ところで通常の養成講座の講師はケアマネさんや看護師等の専門職が殆どだ。そのため地域活動の現場を体験する機会が少ない。認知症の地域支援の実践的な在り方を語るには手に余るきらいがある。私は15年の民生委員と社協役員を経験した養成講座講師として住民視点の地域支援を重点に置いた講座を狙いとしてお話したい。その上で講座受講者に本来の認知症サポーターとして地域の認知症支援のネットワークに関わって頂けるよう声掛けも考えたい」
 90分の講座だが質疑や意見交換の場をぜひ持ちたいと思い、スピーチを75分にとどめた。幸い6人の受講者から活発な質問や意見が出された。「車道で認知症の方を最後まで保護しなかったことの後悔の報告」「本人が素直に認知症を認めるかという懸念」「それに対するクリニック院長である受講者からのフォローと認知症のご近所への開示の大切さのコメント」「認知症発症者の散歩中の行方不明事例での民生委員としての関わり方の事例報告」「愛犬の行方不明に際しての住宅街の支援協力の感謝と認知症行方不明の教訓」「認知症の不安のある層だけでなく、その子供世代や医療・介護従事者、行政も含めた多面的な講座が必要」等々。講座終了後には受講者の6割の30名の方からアンケート回答が寄せられた。
 今後の地域の認知症支援に向けて確かな手応えを感じさせる達成感のある講座だった。