ジェフリー・アーチャー著「ロシア皇帝の密約」2022年11月07日

 所蔵本の断捨離の際に、再読用にお気に入りだったジェフリー・アーチャー著作の6作品を手元に残しておいた。6月から再読を始めて10月末に読み終えた。
 その最後の作品が「ロシア皇帝の密約」だった。1867年に当時のロシア皇帝がアラスカをアメリカに売却したという史実をめぐる冒険スパイ小説である(私自身はそうした史実を知らなかったが)。この史実をもとに作者は、ロシア皇帝のイコンの中にアラスカを買い戻しができるという条約書(密約)が隠されているという着想でソ連、イギリス、アメリカの大国間の壮大な国際的大陰謀物語を展開する。
 作者の構想力とストーリーテラーとしての才能がいかんなく発揮された作品である。ハラハラどきどきさせられながら読者は一気に読み進めさせられる。随所にユーモアを折り込んだスリリングな展開を存分に楽しんだ。