長尾和弘医師の「パンデミックと認知症」コメント2022年06月04日

 日々閲覧している長尾和弘医師のブログ「町医者日記」で認知症に関わる「パンデミックと認知症」と題した示唆に富んだ発信があった。ポイントを要約して記事にしておくことにした。
・2年以上続くコロナ禍でフレイルが進行し、認知症患者が増え症状の進行が続いている。
・コロナ禍ですっかり忘れられているのが認知症の人への配慮や対策ではないか
・コロナ禍の重症者や死亡者の大半は高齢者であり、認知症発症者の大半もやはり高齢者である。
・パンデミックも認知症も高齢がリスク要因であれば、パンデミック対策は常に認知症対策と併行して練られるべきだ。
・しかし、現実は高齢認知症の感染者も非高齢者の感染者と同じように扱われている。
・介護施設ではクラスター発生を回避するために、閉じ込め型介護が2年以上続いている。
・認知症の介護スキルとして「ユマニチュード」が推進されてきた。しかし長引くコロナ禍ですっかり忘れられた感がある。
・「認知症になっても住み慣れた地域でその人らしく生活する」という「地域包括ケア」のスローガンもすっかりコロナによって片隅に追いやられてしまったように感じる。
・大切なことはその認知症の人がどれだけ笑顔で過ごせたかだろう。どれだけの医療人がコロナ禍のなかでもユマニチュードを実践していたのかが大切だ。
・認知症高齢者がコロナに感染した時、療養の場の意思決定はケア会議や人生会議で行うべきだろう。しかしコロナが怖いケアマネは「たとえ玄関先でも訪問できない」という。オンラインで行えばいいのだがその発想が無い。
・結局、ユマニチュード啓発や地域包括ケアは現状のままでは絵餅で終わってしまう。致死率がそれほど高くないコロナには地域包括ケアで対処すべではないのか。