住宅街の街並みの変化と若返りの兆し2023年01月24日

 私の住む住宅街は分譲開始40年を経た2200世帯を擁する戸建住宅の新興住宅地である。1980年代初頭の大規模住宅開発の波に乗って開発された。当時の分譲住宅の多くは規格量産型のプレハブ住宅が主流だった。結果的に住宅街の風景は、整然と区画された宅地にあちこちで似たような家が立ち並ぶ画一的なイメージをもたらしていた。
 分譲40年経て住民の高齢化は著しい。居住者は亡くなったり、施設や病院や子どもたちの住まいに同居したりして空き家が目立ち始めた。交通の便が悪く子どもたちの多くは実家に戻ることはないため、空き家のまま長く放置されているケースが続いたようだ。
 ところが、ここのところ街並みの変化が始まっているかにみえる。従来空き家のまま放置されていた区画が更地化され、新築住宅が建築されるケースが相次いでいる。新築される住宅の多くはプレハブ住宅ではなくお洒落なデザイナーハウスが多い。住民も乳幼児のいるファミリー世帯が中心である。
 交通の便の悪いこの住宅街に、なぜ現役世代のファミリー世帯が移り住むのだろう。考えられる要因は二つある。ひとつはコロナ禍とIT化によって在宅ワークが急速に進んでいるのではないか。今ひとつは子育て環境の面から自然豊かな郊外の戸建て住宅街のニーズが根強いことも考えられる。交通至便な市街地での戸建住宅は到底手が出ない。日本の賃金水準の低下がその傾向に拍車をかけている。
 住宅街のこうした街並みの変化は、地域コミュニティの在り方にも影響を及ぼす。地区社協としても今後の地域福祉の在り方の見なおしを迫られている。