在宅介護中の弟を見舞った2023年09月18日

 半年ばかり入院中だった弟がようやく8月末に退院した。胃瘻の手術を終えての退院だった。退院後20日近くを経て在宅介護も落ち着いたのではないかと思い家内同伴で加古川の弟宅に見舞った。お昼頃の訪問で介護者の奥さんへの労いもあり弟宅近くの「下村」の”きざみ穴子弁当”を持参した。
 入院中の病院に見舞って以来約1カ月ぶりの対面だった。1階和室奥の居室に据えられた介護用ベッドに半身を起こしている弟の顔が目に入った。1カ月前と比べるとよほど元気そうで顔色も良い。家に戻りたいという願いが叶ったことも良い効果をもたらしているのだろう。とはいえ言葉の発声は思うに任せない。時折り単語は理解できるが会話には程遠い。それでもこちらの話しは聞き取れるので最低限のコミュニケーションは可能だ。
 ほどなく奥さんによる胃瘻を通じた弟の栄養剤注入という昼食が始まった。入院中に在宅介護のケアの研修を受けての措置である。弟の口からの食事の楽しみさえも奪われたことの哀しさを想った。今はプロ野球や大相撲のテレビ観戦が数少ない楽しみになっているようだ。
 車イス使用も困難な今はデイサービスの利用も叶わない。栄養剤の効果もあって徐々に体力も回復している。口での食事もできるよう咀嚼訓練も始まった。安定した在宅介護に向けて奥さんともども様々な試みが続いていることを喜んだ。
 2時間ばかり滞在し辞去した。弟の口から発せられた「さよなら」という明瞭な単語に送られた。