袋小路の労働力不足と地域人材の発掘 ― 2023年07月01日
日本の労働力不足の深刻化が身近な日常生活の様々な分野で歪を招いている。評議員として関わっている障がい者支援の社会福祉法人のグループホーム建設計画が人材手当の見通しが立たないことから頓挫した。運営推進委員をしている認知症グループホームでも深刻な人出不足に危機感を募らせている。地域のコミュニティバスの試験運行がドライバー不足で運営事業者が選定できずメドが立たない。
労働力不足の対応策として「外国人労働者の確保」と「IT化」がしばしば取り上げられるが、実現性は疑わしい。「日本の最低賃金は韓国以下、豪州の2分の1、差は開く一方」というニュースを目にした。今や日本の低賃金は国際的にも表面化しており、今後の外国人労働者の確保も見通しは暗い。マイナカードのシステムのお粗末さに代表されるように日本のIT技術は国際的にも低水準と言わざるをえない。マイナの不祥事は国民のIT化への不安を招いている。こんな土壌で今後どこまでIT化が進むか疑問である。今や日本の労働力不足は袋小路に陥っている観がある。
地域の交通弱者への対応のひとつである地区社協のカーボランティアがあらためて見直されるのではないか。地域のボランティアで支えられるカーボランティアは深刻なドライバー不足と無縁である。多くは子育て卒業母さんやリタイヤおじさんたちが担っている。高齢でリタイヤした看護師や介護士といった人材の再登用も課題である。問題はそうした地域に眠っている人材の受け皿となる事業等のインフラが整備されていない点にあるのではないか。
労働力不足の対応策として「外国人労働者の確保」と「IT化」がしばしば取り上げられるが、実現性は疑わしい。「日本の最低賃金は韓国以下、豪州の2分の1、差は開く一方」というニュースを目にした。今や日本の低賃金は国際的にも表面化しており、今後の外国人労働者の確保も見通しは暗い。マイナカードのシステムのお粗末さに代表されるように日本のIT技術は国際的にも低水準と言わざるをえない。マイナの不祥事は国民のIT化への不安を招いている。こんな土壌で今後どこまでIT化が進むか疑問である。今や日本の労働力不足は袋小路に陥っている観がある。
地域の交通弱者への対応のひとつである地区社協のカーボランティアがあらためて見直されるのではないか。地域のボランティアで支えられるカーボランティアは深刻なドライバー不足と無縁である。多くは子育て卒業母さんやリタイヤおじさんたちが担っている。高齢でリタイヤした看護師や介護士といった人材の再登用も課題である。問題はそうした地域に眠っている人材の受け皿となる事業等のインフラが整備されていない点にあるのではないか。
民営化の「落とし子」”プリゴジンの乱” ― 2023年06月29日

ロシアの民間軍事会社ワグネルによる”プリゴジンの乱”が勃発し、世界中が固唾を呑んで成り行きを注目した。
ロシアによるウクライナ侵攻とともにワグネルという得体のしれない軍事組織がメディアに登場するようになった。その組織が”民間軍事会社”であることを知って驚愕した。「民間会社が軍隊を経営する?そんなバカな!異常な究極の民営化ではないか」。
「軍隊とは、国家の機関として組織され、責任ある指揮体系のもとで、国家の行為としての戦闘に、一定の権利義務をもって、公然と兵器を携えて従事する集団をいう(コトバンク)」。
これが常識的な「軍隊」の定義のようだ。軍隊は国家の指揮系統のもとでの関りという点でその存在が理解される組織だろう。
ロシアでも違法とされている民間軍事会社ワグネルは、プーチン大統領が軍隊が扱い難い汚れ役を担わせるために支援している”プーチンの私兵”とみられている。ワグネルを率いるプリコジンは自身が強盗、詐欺等で9年間刑務所で過ごした犯罪者である。実際、彼に率いられたワグネルはロシアが関わる世界各地の紛争地で残虐な戦争犯罪を行っている。ロシアで受刑中の犯罪者を「6カ月働けば自由になる」とウクライナの戦場に送っているのもプリゴジンならではの手法だろう。
その”プーチンの私兵”が牙をむいた。国家の管理する軍隊でないだけに対処も単純ではない。本来あってはならない「軍隊の民営化」という手法が生み出した「落とし子」である。独裁国家の大統領だからこそ手を染められた手法だろう。”プリゴジンの乱”は民営化の「落とし子」の「光」を享受してきたプーチンの「影」の部分を余すことなく照らしている」。
ロシアによるウクライナ侵攻とともにワグネルという得体のしれない軍事組織がメディアに登場するようになった。その組織が”民間軍事会社”であることを知って驚愕した。「民間会社が軍隊を経営する?そんなバカな!異常な究極の民営化ではないか」。
「軍隊とは、国家の機関として組織され、責任ある指揮体系のもとで、国家の行為としての戦闘に、一定の権利義務をもって、公然と兵器を携えて従事する集団をいう(コトバンク)」。
これが常識的な「軍隊」の定義のようだ。軍隊は国家の指揮系統のもとでの関りという点でその存在が理解される組織だろう。
ロシアでも違法とされている民間軍事会社ワグネルは、プーチン大統領が軍隊が扱い難い汚れ役を担わせるために支援している”プーチンの私兵”とみられている。ワグネルを率いるプリコジンは自身が強盗、詐欺等で9年間刑務所で過ごした犯罪者である。実際、彼に率いられたワグネルはロシアが関わる世界各地の紛争地で残虐な戦争犯罪を行っている。ロシアで受刑中の犯罪者を「6カ月働けば自由になる」とウクライナの戦場に送っているのもプリゴジンならではの手法だろう。
その”プーチンの私兵”が牙をむいた。国家の管理する軍隊でないだけに対処も単純ではない。本来あってはならない「軍隊の民営化」という手法が生み出した「落とし子」である。独裁国家の大統領だからこそ手を染められた手法だろう。”プリゴジンの乱”は民営化の「落とし子」の「光」を享受してきたプーチンの「影」の部分を余すことなく照らしている」。
ウガンダの少年の野球にかける夢 ― 2023年06月17日

スマホのニュースアプリで先日応援観戦した独立リーグ球団”兵庫ブレイバーズ”のウガンダ支援の記事を見つけた。
球団がウガンダ出身の選手を受入れ費用を負担して彼らの野球にかける夢を応援しようというものだ。その資金を捻出するため「ウガンダ野球の未来を創る」をテーマにクラウドファンディングを始めたという。
記事ではウガンダがアフリカでは野球強豪国で今年8月に台湾で開催される「U18(18歳以下)ワールドカップ」の出場権も得ていることも紹介されている。現在球団に在籍している16歳のカトー・エドリンは通算6人目のウガンダ選手とのこと。
先日の応援観戦でも、ちょい呑みオヤジ会メンバーである川崎球団代表がカトー少年を連れて観戦中のファン一人ひとりに紹介していた。私も一緒に記念写真に納まりながら激励した。日本語のヒヤリングは馴染んできたような彼の初々しい様子が微笑ましかった。
それにしても16歳という若年の身でひとりで日本にやってきて野球の夢を追っている姿は感動ものである。記事には最速141キロを誇る左腕で日本野球機構の球団が関心を示しているという。
ガンバレ!カトー君。
球団がウガンダ出身の選手を受入れ費用を負担して彼らの野球にかける夢を応援しようというものだ。その資金を捻出するため「ウガンダ野球の未来を創る」をテーマにクラウドファンディングを始めたという。
記事ではウガンダがアフリカでは野球強豪国で今年8月に台湾で開催される「U18(18歳以下)ワールドカップ」の出場権も得ていることも紹介されている。現在球団に在籍している16歳のカトー・エドリンは通算6人目のウガンダ選手とのこと。
先日の応援観戦でも、ちょい呑みオヤジ会メンバーである川崎球団代表がカトー少年を連れて観戦中のファン一人ひとりに紹介していた。私も一緒に記念写真に納まりながら激励した。日本語のヒヤリングは馴染んできたような彼の初々しい様子が微笑ましかった。
それにしても16歳という若年の身でひとりで日本にやってきて野球の夢を追っている姿は感動ものである。記事には最速141キロを誇る左腕で日本野球機構の球団が関心を示しているという。
ガンバレ!カトー君。
ドライバー不足の深刻化とカーボランティア ― 2023年06月09日
テレビのニュースがタクシー業界の深刻なドライバー不足を報道していた。タクシーは交通弱者にとってのセイフティネットの役割を持っている。2007年に超高齢社会となった日本ではお年寄りの交通インフラとしてのタクシーの役割は重要である。
山口地域活性化推進委員会が開催され、コミュニティバスの試験運行に向けて運行事業者の選定が難航しているという経過が報告された。近隣のコミュニティバス同様に事業者は阪急タクシーが想定されていた。難航の背景に物流業界の2024年問題という深刻で構造的なドライバー不足がある。
コミュニティバスの取組みは、交通弱者の地域対策であるコミュニティ交通問題の施策のひとつである。本来、多様な選択肢のひとつとして検討すべき課題であるが、現状では唯一の課題として取組まれている観がある。それだけにその実現性が懸念される場合の他の選択肢の検討が求められる。
北六甲台地区社協の交通弱者対策の取組みであるカーボランティアは2001年に始まり20年以上の実績がある。山口町という公共交通の脆弱なエリアの取組みとして市内35地区の中でも特有の取組みとして定着してきた。地域の住民有志がマイカーで利用者にカーボランティアを提供してきた。地域のボランティア・ドライバーに支えられた取組みである。
日本社会の深刻なドライバー不足は、事業者を介在した交通弱者対策を困難なものにしている。交通弱者対策という福祉分野の施策の担い手として地区社協のカ―ボランテアはボランティア・ドライバーの発掘の手法としてもあらためて注目されてよいと思われる。
山口地域活性化推進委員会が開催され、コミュニティバスの試験運行に向けて運行事業者の選定が難航しているという経過が報告された。近隣のコミュニティバス同様に事業者は阪急タクシーが想定されていた。難航の背景に物流業界の2024年問題という深刻で構造的なドライバー不足がある。
コミュニティバスの取組みは、交通弱者の地域対策であるコミュニティ交通問題の施策のひとつである。本来、多様な選択肢のひとつとして検討すべき課題であるが、現状では唯一の課題として取組まれている観がある。それだけにその実現性が懸念される場合の他の選択肢の検討が求められる。
北六甲台地区社協の交通弱者対策の取組みであるカーボランティアは2001年に始まり20年以上の実績がある。山口町という公共交通の脆弱なエリアの取組みとして市内35地区の中でも特有の取組みとして定着してきた。地域の住民有志がマイカーで利用者にカーボランティアを提供してきた。地域のボランティア・ドライバーに支えられた取組みである。
日本社会の深刻なドライバー不足は、事業者を介在した交通弱者対策を困難なものにしている。交通弱者対策という福祉分野の施策の担い手として地区社協のカ―ボランテアはボランティア・ドライバーの発掘の手法としてもあらためて注目されてよいと思われる。
町内会の夜間パトロールでのひき逃げ死亡事故 ― 2022年12月29日

「堺市中区小阪の市道で27日夜、夜間パトロール中だった4人がはねられ、うち2人が死亡するひき逃げ事件が発生した」。この衝撃的なニュースに考えさせられることが多かった。
「普段から交通量が多く、坂なのでスピードを出す車もある。街灯はほとんどなく夜も暗い」という現場付近は過去にも事故が起きていたという。例年この時期に午後10時から翌日午前2時までの予定で行われる「歳末夜警」中の事故だった。
定年前後から永く地域活動を担ってきた立場からまず思ったのは、深夜パトロールという危険で酷な町内会活動が存続していることの驚きだった。新興住宅地である我が町では到底考えられない活動である。
グーグルマップで検索すると、現場は古い町並みが広がる入り組んだ旧地区のようだ。昔ながらの共同体意識も残されているのだろう。歳末恒例の夜間パトロールもそうした風土を前提にして初めて可能なのだろう。8~10人で行われるパトロールは、防犯だけでなく地域の連帯感や共同体意識の維持という狙いもあるようだ。
旧地区に今も残る共同体意識はそれ自体羨ましい側面である。半面で今回の悲惨な事故が夜間パトロールの存続を含めて見直しが迫られるのではあるまいか。IT化に向けた対応も含めて新たな態勢の模索が必要ではあるまいか。
「普段から交通量が多く、坂なのでスピードを出す車もある。街灯はほとんどなく夜も暗い」という現場付近は過去にも事故が起きていたという。例年この時期に午後10時から翌日午前2時までの予定で行われる「歳末夜警」中の事故だった。
定年前後から永く地域活動を担ってきた立場からまず思ったのは、深夜パトロールという危険で酷な町内会活動が存続していることの驚きだった。新興住宅地である我が町では到底考えられない活動である。
グーグルマップで検索すると、現場は古い町並みが広がる入り組んだ旧地区のようだ。昔ながらの共同体意識も残されているのだろう。歳末恒例の夜間パトロールもそうした風土を前提にして初めて可能なのだろう。8~10人で行われるパトロールは、防犯だけでなく地域の連帯感や共同体意識の維持という狙いもあるようだ。
旧地区に今も残る共同体意識はそれ自体羨ましい側面である。半面で今回の悲惨な事故が夜間パトロールの存続を含めて見直しが迫られるのではあるまいか。IT化に向けた対応も含めて新たな態勢の模索が必要ではあるまいか。
長尾和宏医師の参議院厚生労働委員会発言要旨 ― 2022年11月21日
尊敬する町医者・長尾和宏氏のブログ「Dr.和の町医者日記」を毎日読んでいる。ブログの昨日の日記の記事は「厚生労働委員に配布した発言要旨」だった。
11月19日(金)13時~行われた参議院厚生労働委員会に参考人として出席した長尾医師の「感染症法の改正に関する要望」の発言要旨を紹介した記事だった。コロナ発症以来2年半に渡る長尾医師のコロナ対応の奮闘と葛藤を通じた今後の施策についての集大成とも思える記事だった。
発言は「感染症法の改正に関する要望」と「ワクチン後遺症関連の指摘」の二つのテーマである。それぞれの見出しを読むだけでも趣旨が整理され全体像が把握できる。以下に見出しを紹介しておきたい。
■感染症法の改正に関する要望
1、保健所機能と医療機能の分離
2、地域包括ケアシステムの活用
3、リビングウイルを核とした人生会議の励行
4、介護施設における医療提供体制の構築
5、死亡診断書の改訂
6、感染症分類の見直し
■ワクチン後遺症関連の指摘
1、ワクチン副反応、ワクチン後遺症、ワクチン後症候群、を区別
2、症状は実に多彩
3、ワクチン後症候群とは
4、最重症型は「クロイツフェルトヤコブ病」
5、イベルメクチンが後遺症治療にも有効
6、難民化しています!
7、1年以上寝たきりになっても認定も補償もありません
8、ワクチン後遺症ビジネス
9、死亡しても解剖してもらえない
10、病態解明、治療法の開発、補償が急務
11月19日(金)13時~行われた参議院厚生労働委員会に参考人として出席した長尾医師の「感染症法の改正に関する要望」の発言要旨を紹介した記事だった。コロナ発症以来2年半に渡る長尾医師のコロナ対応の奮闘と葛藤を通じた今後の施策についての集大成とも思える記事だった。
発言は「感染症法の改正に関する要望」と「ワクチン後遺症関連の指摘」の二つのテーマである。それぞれの見出しを読むだけでも趣旨が整理され全体像が把握できる。以下に見出しを紹介しておきたい。
■感染症法の改正に関する要望
1、保健所機能と医療機能の分離
2、地域包括ケアシステムの活用
3、リビングウイルを核とした人生会議の励行
4、介護施設における医療提供体制の構築
5、死亡診断書の改訂
6、感染症分類の見直し
■ワクチン後遺症関連の指摘
1、ワクチン副反応、ワクチン後遺症、ワクチン後症候群、を区別
2、症状は実に多彩
3、ワクチン後症候群とは
4、最重症型は「クロイツフェルトヤコブ病」
5、イベルメクチンが後遺症治療にも有効
6、難民化しています!
7、1年以上寝たきりになっても認定も補償もありません
8、ワクチン後遺症ビジネス
9、死亡しても解剖してもらえない
10、病態解明、治療法の開発、補償が急務
ゴルバチョフ氏を悼む ― 2022年09月02日

8月30日、ソ連邦最後の書記長・ゴルバチョフ氏が亡くなった。個人的には著名人の訃報の中でとりわけ衝撃的な訃報のひとつだった。
1975年に出身企業の労組書記長だった私は、業界労働団体の繋がりでソ連邦訪問団の一員としてモスクワ、リガ、レニングラードを訪ねた。当時はブレジネフ書記長率いるソ連邦が米ソの緊張緩和策(デタント)による「資本主義的豊かさ」の副作用をブレジネフ氏への個人崇拝で引き締めようとしていた時期のようにみえた。
ゴルバチョフ氏は、その10年後に54歳でソ連邦の8代目の指導者として書記長に就任した。外交面のソ連・アフガン戦争の撤退、ロナルド・レーガン大統領との首脳会談による冷戦終結、内政面の言論・報道の自由を認めるグラスノスチ(開放)政策、経済の意思決定を分散して効率化を図るペレストロイカ(再構築)政策等の大胆な政策を実施した。それは結果的にソ連邦解体を招くものとなり、冷戦終結という成果と共に歴史に偉大な足跡を残した。氏の著作「ペレストロイカ」を共感しながら読んだ。
私はソ連邦訪問時に現在のラトビア共和国の首都リガも訪ねた。その時に訪問団の応接担当の同世代の美人書記アルビーナさんとの忘れ難い思い出を経験した。二人だけの会話の中で彼女は異邦人の私にソ連邦からのラトビア独立を願う言葉を口にした。それから16年後に彼女の願いはソ連邦崩壊とラトビア共和国独立という形で実現した。それは紛れもなくゴルバチョフ氏のソ連邦改革という大胆な政策がもたらしたもののひとつだった。
ゴルバチョフ氏が死を迎えた時、ロシアのウクライナ侵略戦争が只中だった。ソ連邦解体後の混乱の中で最終的にロシアを牛耳って長期にわたり独裁体制を確立したのはプーチン氏だった。ロシアのウクライナ侵攻はロシアの西の隣国ラトビアの明日を意味している。ロシアのラトビア侵攻の不安という緊張感の中で過ごしているだろうアルビーナさんに想いを馳せた。
1975年に出身企業の労組書記長だった私は、業界労働団体の繋がりでソ連邦訪問団の一員としてモスクワ、リガ、レニングラードを訪ねた。当時はブレジネフ書記長率いるソ連邦が米ソの緊張緩和策(デタント)による「資本主義的豊かさ」の副作用をブレジネフ氏への個人崇拝で引き締めようとしていた時期のようにみえた。
ゴルバチョフ氏は、その10年後に54歳でソ連邦の8代目の指導者として書記長に就任した。外交面のソ連・アフガン戦争の撤退、ロナルド・レーガン大統領との首脳会談による冷戦終結、内政面の言論・報道の自由を認めるグラスノスチ(開放)政策、経済の意思決定を分散して効率化を図るペレストロイカ(再構築)政策等の大胆な政策を実施した。それは結果的にソ連邦解体を招くものとなり、冷戦終結という成果と共に歴史に偉大な足跡を残した。氏の著作「ペレストロイカ」を共感しながら読んだ。
私はソ連邦訪問時に現在のラトビア共和国の首都リガも訪ねた。その時に訪問団の応接担当の同世代の美人書記アルビーナさんとの忘れ難い思い出を経験した。二人だけの会話の中で彼女は異邦人の私にソ連邦からのラトビア独立を願う言葉を口にした。それから16年後に彼女の願いはソ連邦崩壊とラトビア共和国独立という形で実現した。それは紛れもなくゴルバチョフ氏のソ連邦改革という大胆な政策がもたらしたもののひとつだった。
ゴルバチョフ氏が死を迎えた時、ロシアのウクライナ侵略戦争が只中だった。ソ連邦解体後の混乱の中で最終的にロシアを牛耳って長期にわたり独裁体制を確立したのはプーチン氏だった。ロシアのウクライナ侵攻はロシアの西の隣国ラトビアの明日を意味している。ロシアのラトビア侵攻の不安という緊張感の中で過ごしているだろうアルビーナさんに想いを馳せた。
バルト三国の危機!ラトビアのアルビーナさんの消息は? ― 2022年07月18日

朝日テレビの「ワイドスクランブル」で関心の深いニュースの解説をしていた。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ウクライナの隣国バルト三国のロシアへの警戒感を深めている実態を伝えた特集番組だった。
バルト三国うちラトビアは思い出深い国である。1975年の30歳の時に労組役員の一員としてソ連邦を訪問した。その時の訪問先のひとつが独立前のラトビアの首都リガだった。
2年前に自叙伝を自費出版した際に、その時の訪問記の中でリガの思い出を次のように綴った。
『リガでは忘れ難い出来事を体験した。30代の美人書記・アルビーナさんが我々の応接担当だった。50代以上の団員が多い中で、同世代でカタコト英語を話した私と4日間の訪問を通じて親しくなった。別れの晩餐会で二人だけでしばらく会話した。酔いも手伝ったのか彼女の口から祖国ラトビアの独立を願う言葉がついて出た。大国ロシアに占領され、心ならずもソ連邦の一員となった民族の魂の叫びを垣間見た気がした。秘密警察も跋扈するお国柄で、異邦人相手によくぞ語ったものだと驚愕しながら共感の言葉を返した。
列車でレニングラードに向かうプラットホームでの別れの時だった。団員仲間たちとの別れを握手で済ませていた彼女が、突然私の腰に手を廻し頬を寄せてハグをした。私の人生の中でも思い出深い感動的でドラマチックな一瞬だった。祖国への想いをはからずも伝え、受け止めてもらった異邦人への親愛の情が、咄嗟にそんな行動に駆り立てたのだろう。
それから16年後の1991年に彼女の願いはソ連邦崩壊後のラトビア共和国の独立という形で実現した。テレビでその報道に接した時、ラトビアを”ラティア”の愛称で繰り返していた彼女の面影を思い出しながら心から祝福した』
そのラトビアが、今またかつての悲惨な歴史を繰り返されかねない危機を迎えている。テレビ越しにその背景と現状の報告を見詰めながらアルビーナさんの消息に思いを馳せた。
バルト三国うちラトビアは思い出深い国である。1975年の30歳の時に労組役員の一員としてソ連邦を訪問した。その時の訪問先のひとつが独立前のラトビアの首都リガだった。
2年前に自叙伝を自費出版した際に、その時の訪問記の中でリガの思い出を次のように綴った。
『リガでは忘れ難い出来事を体験した。30代の美人書記・アルビーナさんが我々の応接担当だった。50代以上の団員が多い中で、同世代でカタコト英語を話した私と4日間の訪問を通じて親しくなった。別れの晩餐会で二人だけでしばらく会話した。酔いも手伝ったのか彼女の口から祖国ラトビアの独立を願う言葉がついて出た。大国ロシアに占領され、心ならずもソ連邦の一員となった民族の魂の叫びを垣間見た気がした。秘密警察も跋扈するお国柄で、異邦人相手によくぞ語ったものだと驚愕しながら共感の言葉を返した。
列車でレニングラードに向かうプラットホームでの別れの時だった。団員仲間たちとの別れを握手で済ませていた彼女が、突然私の腰に手を廻し頬を寄せてハグをした。私の人生の中でも思い出深い感動的でドラマチックな一瞬だった。祖国への想いをはからずも伝え、受け止めてもらった異邦人への親愛の情が、咄嗟にそんな行動に駆り立てたのだろう。
それから16年後の1991年に彼女の願いはソ連邦崩壊後のラトビア共和国の独立という形で実現した。テレビでその報道に接した時、ラトビアを”ラティア”の愛称で繰り返していた彼女の面影を思い出しながら心から祝福した』
そのラトビアが、今またかつての悲惨な歴史を繰り返されかねない危機を迎えている。テレビ越しにその背景と現状の報告を見詰めながらアルビーナさんの消息に思いを馳せた。
読売新聞社説「自治会改革」 ― 2022年04月27日

数日前の読売新聞に「自治会の将来~住民が入りたいと思う組織に~」と題する社説が掲載されていた。ポイントを要約してみた。
・自治会は全国で約30万あり、2020年度加入率は72%で10年前から6%低下した。
・加入率低下で役員の高齢化と固定化が進み、自治体広報紙の配布、会費集金、募金活動が滞る事例が増えている。
・自治会役員が重荷に感じているのは広報紙の配布や民生委員の推薦依頼だ。
・子どもの見守り、高齢者の居場所作りなどの従来地域が担ってきた課題を専門的に取組むNPOが増えている。自治体は自治会の負担を減らすためこうした団体を引き入れることが必要だ。
・回覧の電子化や災害時のSNS活用等のIT活用が若い世代の理解を深める上で役立つのではないか。
上記の一般的な自治会の現状と我が町の自治会の現状を比較分析してみた。
・加入率は80%を超えており比較的安定している。
・自治体広報紙は西宮市は既にシルバーセンターに業務委託されている。自治会広報紙は年3回ながら自治会員対象に配布体制は維持されている。地域福祉に関わる広報は地区社協の広報紙が年6回全住民に役員の手で配布されている。
・子どもの見守り、高齢者の居場所も地区社協が子育てサロンやふれあい喫茶等を開催しカバーできている。
・IT活用は自治会員有志に向けて携帯メールの同時発信サービスが実施されているが対象者が限定され限界がある。今後のLINE活用等の改善やホームページ立上げが課題とされている。
以上の整理を踏まえながら、自治会と地区社協の課題がかなりの分野で重複している。今後の一層の連携を痛感した。
・自治会は全国で約30万あり、2020年度加入率は72%で10年前から6%低下した。
・加入率低下で役員の高齢化と固定化が進み、自治体広報紙の配布、会費集金、募金活動が滞る事例が増えている。
・自治会役員が重荷に感じているのは広報紙の配布や民生委員の推薦依頼だ。
・子どもの見守り、高齢者の居場所作りなどの従来地域が担ってきた課題を専門的に取組むNPOが増えている。自治体は自治会の負担を減らすためこうした団体を引き入れることが必要だ。
・回覧の電子化や災害時のSNS活用等のIT活用が若い世代の理解を深める上で役立つのではないか。
上記の一般的な自治会の現状と我が町の自治会の現状を比較分析してみた。
・加入率は80%を超えており比較的安定している。
・自治体広報紙は西宮市は既にシルバーセンターに業務委託されている。自治会広報紙は年3回ながら自治会員対象に配布体制は維持されている。地域福祉に関わる広報は地区社協の広報紙が年6回全住民に役員の手で配布されている。
・子どもの見守り、高齢者の居場所も地区社協が子育てサロンやふれあい喫茶等を開催しカバーできている。
・IT活用は自治会員有志に向けて携帯メールの同時発信サービスが実施されているが対象者が限定され限界がある。今後のLINE活用等の改善やホームページ立上げが課題とされている。
以上の整理を踏まえながら、自治会と地区社協の課題がかなりの分野で重複している。今後の一層の連携を痛感した。
ゼレンスキー大統領の重圧と葛藤 ― 2022年03月25日

数ある世界の大統領の中で今最も注目を集め支持されている大統領はこの人をおいてほかにない。ウクライナのゼレンスキー大統領である。
2019年に大統領に就任するまではコメディアンだったという異色の人物である。大統領就任直後に実施された議会選挙では彼の立ちあげた新党が424議席中240議席以上を占める圧勝をした。ところがいかんせん政治には素人にすぎない彼は就任以降は内政や外交でのつまづきで支持率は低迷した。
そして就任3年目の2022年2月、彼の政治活動を根底から震撼させる事態が襲った。ロシアのウクライナ侵攻である。彼は首都にとどまり、国民を鼓舞する抗戦のメッセージを送り続けた。支持率は急上昇し、世論調査では91%もの国民が支持した。侵攻後1カ月を経て今尚ウクライナはロシア軍に対峙し徹底抗戦を続けている。
ゼレンスキー大統領の心情を推測した。過酷な選択を日々迫られている。ロシア軍の無差別攻撃の前に国民の多くの命が失われている。それでも尚、国の存続のためには徹底抗戦を鼓舞するしかない。他方でプーチン・ロシア大統領の最優先の暗殺の標的として自身の命の危険も差し迫った現実である。彼の心の内には「抗戦」と「撤収」の選択肢が揺れ動いているに違いない。それは決して表には出せない心情である。
彼の「抗戦」と「撤収」という選択肢についての途方もない重圧と緊張感を思いやった。暗殺の恐怖と闘う葛藤に心を寄せた。結局それはどこまでも彼自身が受止め判断するしかない。誰もそのことをとやかく言えない。
世界で最も注目を集め支持されている大統領は、世界で最も過酷な選択を日々迫られている大統領でもある。
2019年に大統領に就任するまではコメディアンだったという異色の人物である。大統領就任直後に実施された議会選挙では彼の立ちあげた新党が424議席中240議席以上を占める圧勝をした。ところがいかんせん政治には素人にすぎない彼は就任以降は内政や外交でのつまづきで支持率は低迷した。
そして就任3年目の2022年2月、彼の政治活動を根底から震撼させる事態が襲った。ロシアのウクライナ侵攻である。彼は首都にとどまり、国民を鼓舞する抗戦のメッセージを送り続けた。支持率は急上昇し、世論調査では91%もの国民が支持した。侵攻後1カ月を経て今尚ウクライナはロシア軍に対峙し徹底抗戦を続けている。
ゼレンスキー大統領の心情を推測した。過酷な選択を日々迫られている。ロシア軍の無差別攻撃の前に国民の多くの命が失われている。それでも尚、国の存続のためには徹底抗戦を鼓舞するしかない。他方でプーチン・ロシア大統領の最優先の暗殺の標的として自身の命の危険も差し迫った現実である。彼の心の内には「抗戦」と「撤収」の選択肢が揺れ動いているに違いない。それは決して表には出せない心情である。
彼の「抗戦」と「撤収」という選択肢についての途方もない重圧と緊張感を思いやった。暗殺の恐怖と闘う葛藤に心を寄せた。結局それはどこまでも彼自身が受止め判断するしかない。誰もそのことをとやかく言えない。
世界で最も注目を集め支持されている大統領は、世界で最も過酷な選択を日々迫られている大統領でもある。
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