検査通院の風景2007年08月27日

 朝8時過ぎの市大病院血液検査室前の待合室である。3度の入院治療を終えて、主治医からは毎週月曜日に血液検査を受けるよう指示されている。
 8時30分の受付開始を前に待合室には既に20人以上が陣取っている。多くはこの時間帯でも自由のきくお年よりたちである。夫の検査に付き添うご夫婦の姿も何組か見かける。おばあさんが隣席のおじいさんの世話をかいがいしくしている光景を心和む想いで眺めていた。
 かって「老い」は、疎ましくて恐ろしい世界だった。「老い」を間近に迎えて、今まで気にも留めなかった身近な「老いの光景」がなぜか目に止まりだした。「老い」を肩肘張らずにごく自然に受入れだしたような気がする。
   
 血液検査を終えて職場に向かう帰路の光景である。新世界の南に広がる典型的な下町の一画だった。お世辞にも上品とはいえない庶民的な商店街の中に、今尚残る銭湯があった。銭湯の玄関脇の手書きのポスターが目に止まった。
 「20代30代は男になりたい。40代50代は男でありたい。60代70代は男で死にたい」
 意図不明のポスターという他はない。掲示者の真意ははかり知れない。銭湯関係者の筈だから「銭湯で男を磨こう!」とでも言いたいのだろうか。とはいえ何故かこのポスターはこの街にピッタリ嵌った気になるポスターだった。

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