小樽散策と支笏湖遊覧2010年10月03日

 朝6時、朝食までの時間をホテル周辺の散策に出かけた。ホテル前から広大なウィングベイ小樽に沿って西に向う。新南樽市場前を右に折れ折り返すとヨットの帆をイメージしたモニュメントの向うにある建物が見えてくる。石原裕次郎記念館である。開館前の建物を過ぎると景色が一変した。シーズンを終えた数多くのヨットが係留されたヨットハーバー「小樽マリーナ」の美しい景色が目前にあった。ウィングベイの東の端の観覧車前の歩道橋に来た。ここから石狩湾に突き出た岬が見える。岬の上には昨晩ひと時を過ごした銀麟荘の優雅な姿を望むことができた。
 ホテルに戻り7時からの朝食を済ませる。地元食材を織り込んだ和洋のバイキングだった。部屋に戻りチェックアウトを済ませ、7時45分に一人で小樽市街の観光に出かけた。メンバーの多くはグループで9時15分出発のバスで出かけるようだ。徒歩で30分はかかるようだったが、そこは日頃のウォーキングがモノいう。8時15分ごろには観光スポットに着いた。
 日曜ながら朝の小樽運河周辺は人影もまばらだ。何台もの人力車と客待ちする俥夫たちの手持無沙汰な姿が目についた。運河沿いの煉瓦造り倉庫群、石畳の遊歩道、ガス灯をイメージした街灯、運河を跨ぐ情緒ある石橋などの情緒ある風情が、この街を再興させ企画力を感じさせる。時間はたっぷりある。JR小樽駅を訪ねた。駅前通りの途中に不思議な光景に出合った。北海道最初の鉄道である旧手宮線の線路跡が道路を横断していた。線路前の「一時停止の必要はありません」と書かれた看板が面白い。薄茶色のタイル張りの建物正面に丸い時計を配した小樽駅は今尚ローカル駅の情緒を残していた。多くのテレビや映画の舞台となったというガイド情報も頷けた。
 寄棟瓦屋根の運河プラザを見学した後、小樽運河ターミナル前から堺筋本通りに入った。観光スポットでもある硝子ショップを始めとした風情ある商店街だ。お買いもの目当ての女性客が夢中になる通りには「お父さん預かります」の看板を掲げた店もあり嗤ってしまった。ヴェネツィア美術館、北一硝子、オルゴール堂、ガラス工房、蒲鉾のかま栄などの定番のお店を見て回り帰路についた。
 ホテル手前のお目当ての新南樽市場には10時半頃に着いた。地元の人も立ち寄るという人気の鮮魚市場である。20数店舗の鮮魚・塩干の店には既に大勢の客が狭い通路にひしめいていた。シマホッケやタラコ、鮭とばなどを購入した。ホテルには集合予定の15分前の11時に辿り着いた。歩き詰めの3時間余りでさすがにグッタリだった。
 バスが最後の目的地・支笏湖に向って出発した。1時頃に昼食会場でもある湖畔のホテル「レイクサイドヴィラ翠明閣」に着いた。湖の直ぐ傍の静かで落ち着いた佇まいのレストランでフランス料理のコースが待っていた。ボトルワインを傾けながらメンバーたちと談笑しながら最後の食事を楽しんだ。支笏湖観光船に乗り込み30分の遊覧がスタートした。水深360mの我が国二番目の深さの周囲40kmの大きな湖だ。ガラス窓で覆われた船底の船室に陣取った面々が出航まもなく目にしたのはマスやウグイなどの無数の淡水魚たちの遊泳の光景だった。しばらくするとガラス越しに人工の石と見がまう柱状の巨石群がガラスの向うに横たわっていた。火山活動が生み出したマグマが冷却固結した際に収縮して生まれたカルデラ湖特有の形状だという。
 新千歳空港に4時頃に着いた。添乗員から航空券を受け取った後は1時間半近いフリータイムとなる。各自三々五々ショッピングに出かける。娘からのリクエストは小樽洋菓子ルタオのレアチーズケーキだった。家内からは近所土産のはさみ漬けを頼まれている。それぞれを調達し早目に搭乗口で寛いだ。6時発のANA778便で伊丹空港を経由し、9時20分には帰宅した。娘と家内が私と土産を待っていた。