有間皇子物語公演がもたらしたもの2014年09月20日

 先日、ミュージカル有間皇子物語公演終了後初めての後援会役員会を開催した。当然ながら公演全般の総括が中心テーマとなった。
 招待者を含めて事前のチケットと招待状の発行数810枚は、ほぼ満席数に等しかった。これに対して、入場者数は4回公演合せて750名だった。この来場者率93%は各公演当り20席前後の席数のゆとりがあったことになる。席数バランス上は申し分のない観客動員だったといえる。出演者、スタッフ、後援会関係者を合わせて4回公演で延千人を超える皆さんに山口ホールに来場頂いた。
 公演収支の概算が報告された。結果的に当初予算を100万円程度上回る事業規模となった。舞台づくりの過程で様々な想定外の出費が発生するのもやむをえない。同時にチケット販売、個人支援金、助成金等を中心に、それに見合うだけの予算を超える収入があった。おかげで公演収支のバランスは確保された。
 振り返ればこの結果に至るまでの過程は、まさしく山あり谷ありの厳しい現実の連続だった。とりわけ山口地区全体の自治会をまとめる会議体への名義後援の要請が、関係者の尽力にも関わらずも最終的には叶わなかった時には、いよいよ崖っぷちに立たされたという想いに駆られた。支援金要請面や観客動員での影響ははかりしれないものがあると思えたからだ。
 にもかかわらず、公演は何とか成功裏に終了した。180名の個人から支援金を頂き、25社の法人から賛助金を頂戴した。ひとえに地域の皆さんの予想を超えたご支援の賜物というほかはない。
 公演を観て頂いた250名ほどの皆さんからアンケートを回収させて頂いた。フラットな客席で観ずらかったといった施設面の不満はあったものの、公演自体への評価は極めて高いものだった。何よりも観客の61%もの方が山口地区以外から来場された点は特筆すべきだろう。創作ミュージカル公演という初めての大それた挑戦が、地域の活性化になにがしかの貢献をしたことは間違いない。公演の地域外からの集客力の証明とも言えよう。合わせて今回の大規模な公演の成功はミュージカルという新たな文化がこの小さな町に花開いたことを物語っている。
 地元自治会の後援が叶わなかったことで、地元での大規模なイベント開催では通例の旧地区財産区の資金支援も得られなかった。それだけに新興住宅街中心の今回の公演の成功は、ある意味では画期的と言える。自治会、財産区の支援を前提としない千人もの動員を巻き込んだ大規模予算のイベントが大好評の中で成し遂げられたということでもある。
 今回の公演テーマの有間皇子は旧山口地区にゆかりの歴史上の人物である。旧山口ゆかりの題材を新興住宅街のカルチャーともいえるミュージカルで発信する。それは山口という新旧の住宅街が併存する町の大きな架け橋でもあるという自負がある。今回の公演成功が、山口の町起こしに向けて、そして新旧両地区の一層の共存に向けて大きなステップに繋がることを願ってやまない。
 個人的にはこの大きなイベント開催に当たって後援会事務局長という役回りを何とか無事果たせたことの達成感は大きい。また取組みの過程で多くの方との交流が得られた。今後の地域活動の上でも貴重な繋がりになると思える方も少なくない。いずれにしろプレッシャーのある大きな役回りを果たし終えて、ホッとしたというのも偽らざるところである。これを機に自分なりに今後の関わりを冷静に考えてみたい。