満開の秋2014年09月27日

 住宅街の出口に通じる小路にやってきた。路肩に植えられたキンモクセイの甘酸っぱい香りが迫ってきた。その向こうには成長途上の若いイチョウの樹が黄金色に染まる前のみずみずしいい緑がかった葉っぱを揺らしていた。
 有馬川に架かる天上橋の袂には地元のおばあちゃんが丹精して育んでいる畑がある。その一角にピンクがかった藤色のコスモスが咲き乱れ、空に向かって思い切り背伸びをしていた。
 有馬川堤のさくら並木の足元で、一群の彼岸花が毒々しい赤をまとっていた。まもなく赤黒く枯れしぼむ花弁がその運命に逆らうように今を生きていた。移ろう季節に抗するかのような強烈な存在感を放っていた。
 その東側の稲田では刈り取られたばかりの稲穂が、「はざ架け」されて幾重にも列をなしていた。稲穂の束が天日干しの恵みを浴びて心地よさげにぶら下がっていた。
 満開の秋を歩いた。