和田秀樹著「70歳が老化の分かれ道」2022年06月07日

 家内がご近所さんから勧められて「70歳が老化の分かれ道」という本を熱心に読んでいた。著者は30年以上に渡って精神科医として高齢者医療に携わってきた和田秀樹医師である。家内の読了後に手に取って190頁ほどの新書版を一気に読み終えた。
 著者は現在の健康長寿の鍵は、戦後のたんぱく質を多くとるようになった栄養改善が免疫力を向上させ平均寿命を一気に延長させた要因だという。この観点から戦後生まれの現在の70代のこれからの過ごし方を独自の考え方で提案する。今や70代は人生の「最後の活動期」であり、だからこそその過ごし方が”人生100年時代”の80代以降の「老い」を左右すると警鐘を鳴らす。
 医学の進歩でさまざまな臓器の老化を抑制し寿命を延ばすが、脳の神経細胞だけは老化を止めたり再生したりできない。その結果、身体の健康は比較的維持されながら脳の健康は確実に衰え認知症と付き合いながら老いを過ごすというアンバランスが避けられない。そこで長い老いの期間を健やかに過ごすため、身体も脳もいかにして長持ちさせるかが焦点となる。そのカギとなるのが70代の過ごし方だという。そこで老け込まないための次のような70代の過ごし方の数々が紹介される。
・仕事も社会と関わる活動も車の運転等、何事も引退してはいけない。
・肉を食べたり、陽を浴びる習慣を続ける。
・統計的にも長生きできるのは少々太目の人。ダイエットは禁物。
・おいしいものを食べて免疫力をアップする。
 続いて次のような70代の医療との付き合い方が提案される。
・血圧、血糖値はコントロールしすぎない。
・検査結果の異常値が個人の病気の因果関係と限らない健康診断を妄信しない。
・在宅介護より在宅看取りを重視する
・高齢者の「うつ」のサインを見逃さない
 
 これまで何となく疑っていた数々の常識的な考え方を専門医の立場から見事に指摘した内容だった。あらためて実践したい方策も多かった。

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