続・おばさんトーク入門講座2018年07月27日

 一カ月ほど前にさくらFMに出演して「リタイヤオヤジのセカンドライフ」をテーマに三人のパーソナリティたちとトークした。もっとも受けたのは「おばさんトーク」の話題だった。「よくしゃべり」「繰り返し」「割り込み」「飛躍し」「居直る」というおばさんトークの生態をおばさんたちへの愛おしさと敬意をこめて語った。
 そんな経過もあってその後しばらくおばさんたちの生態が気になった。そこであらためて気づかされたのがおばさんトークの続編ともいうべき特異な生態だった。以下「続・おばさんトーク入門講座」としてメモっておこう。
【おばさんの電話は終わりそうで終わらない】
 おばさんたちの長電話にしばしば苛立ちを覚えるのは私だけだろうか。もちろん電話口の向こうにいるのはおおむね同世代のおばさんである。そしてその背後には延々と続く嫁の長電話にうんざりしながら耐えているおじさん亭主がいる。
 会話の内容がようやく終わりを告げるかのようなフレーズになり、おじさんは「やれやれ」と胸をなでおろす。ところがこれは束の間の安堵感だったと思い知らされる。どちらからかは定かでないが突如として新たな話題が投入される。エンディングモードは消し飛んで再び延長戦が始まる。長電話の終わりかけの延長戦におじさんはダブルパンチのダメージを受けて打ちのめされる。
【おばさんは他人に聞かせるように独り言をいう】
 リタイヤ生活を迎えてリタイヤおじさんは多くの時間を我が家で嫁と向き合うことになる。現役時代には見えなかったり気にならなかった連れ合いの様々な生態に気づかされることになる。そのひとつに独り言の声の大きさがある。元来、独り言とは相手がいないのに発する言葉である。通常は自分自身にだけ聞こえる程度のつぶやきの筈である。 ところがおばさんの独り言のボリュウムはつぶやきレベルを超えている。いやでも生活を共にする亭主の耳に飛び込んでくる。リタイヤ直後は話しかけられたと思ってトンチンカンな返事をしたりしたものだ。今は聞き流す術を心得ている。おばさんのこの傾向は我が家だけではなさそうだ。地域活動で時間と空間を共有するおばさんたちにもしばしばみられるおばさん共通の生態のようだ。
 独り言には「自分の声を聴く」ことで不安や迷いを鎮めるという役割があり、また自分の考えや気持ちを言語化することで「思考を整理する」という側面があると言われる。不安や迷いを抱えながら日々多くの雑事に追われるおばさんたちの独り言を咎めてはならない。おばさんたちの「思考を整理する」という苦手な分野の数少ない機会を歓迎しよう。声の大きさは、あわよくば独り言に対する周囲の賛同や同意を得ようとするしたたかな企みなのかもしれない。

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