追憶「ローマ人の物語紀行」➁歴史との共存は不便さとの共存2024年02月06日

 ローマ世界の中心地であったフォロ・ロマーノは紀元前6世紀から建設を着手したといわれている。日本では縄文時代と呼ばれる頃である。2千数百年もの年月を経たフォロ・ロマーノの遺跡群を目の当たりにして、世界制覇の原動力の一つでもあったローマ人たちの土木技術の水準の高さを思い知らされる。
 フォロ・ロマーノの周辺をはじめ、ローマの中心部を構成する七つの丘を繋いでいる街路のほとんどは、今尚、石畳で埋め尽くされている。無機質なコンクリートジャングルでない石畳の風情が、街中の至る所に散在する古代ローマの遺跡と調和している。とはいえ石畳のもたらす住民にとっての日常生活の不便さは、通りすがりの観光客の想像を超えるものがあるに違いない。
 かってのローマ帝国の首都ローマは、今尚、共通の古都としてヨーロッパ各国から多くの観光客を吸引している。コロッセオやパンテオンで大規模な修復工事が行われていた。ローマ人の末裔たちは、歴史を保存し歴史と共存しながら観光都市ローマでの市民生活を営んでいる。