訪問介護従事者のワクチン接種2021年03月08日

 コロナワクチンの優先接種が始まった。厚労省は優先接種の接種順位を次のように定めている。 (1)医療従事者等 (2)高齢者 (3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
 この接種順位をみて咄嗟に疑問に思ったことがある。 (3)の高齢者施設の従事者には訪問介護の従事者が含まれていない点である。厚労省役人の医療・介護の現場実態把握の希薄さを痛感した。
 コロナ感染者の病院・施設の受入れの逼迫が顕在化している。そんな事態にやむなく在宅での対応を余儀なくされている感染者も少なくない。そうした在宅患者を支えるのは訪問介護の従事者たちだ。従来からの在宅介護に加えて新たにコロナ感染者を担当することになり、その負担の過酷さは想像以上だろう。ましてや病院・施設と違って1日数件以上の訪問先の感染対策は千差万別の環境である。いつ自身が感染しそれが訪問先に及ぼしかねないという不安は大きい。訪問介護従事者の施設介護者と同等の優先接種は当然すぎる順位だろう。
 2025年問題を控えて厚労省は地域包括ケアシステムを声高に呼びかけている。その根幹を支えるのは在宅ケア(医療・介護)である。ワクチンの優先接種に在宅介護従事者を除外していた厚労省の判断に、はからずも地域包括ケアの底の浅さを垣間見てしまった。