山口ホールのゑびす寄席2010年08月09日

 昨日の午後2時からの2時間半を、落語6席で愉しんだ。毎年恒例の「ゑびす寄席」が山口ホールで催された。直前に買い忘れていた前売りチケットを申し込んだら売り切れだった。昨年は当日でもまだ余っていた筈だ。寄席人気が徐々にこの街にも浸透してきたようだ。
 開演直前、200席定員の会場が埋め尽くされた。私も含めてほとんどが年配の男女である。年々こうした催しの会場で顔見知りの人たちが増えていく。リタイヤ後の地域の付き合いの広がりを思わずにはいられない。
 トップバッターは上方落語の最年少噺家・露の団姫(つゆのまるこ)さん。「TV番組・おはよう朝日土曜日です」にレギュラー出演している人気者だが、寄席の世界では若輩である。高座終了後は次の出演者のために座布団を返し、出演者札のめくり役を務める。続いて桂吉坊さん、笑福亭瓶生さんの一席の後、中入り前のトリを勤める露の団四郎さんが登場する。さすがに若手との違いを感じさせる芸である。独特の軽妙な語り口と絶妙の間のとり方に引きこまれてしまう。
 中入り後は、中堅の笑福亭達瓶さんの噺があり、オオトリを笑福亭三喬さんが勤める。二年前のゑびす寄席でもオオトリを勤めた噺家だ。その時も「ぜんざい公社」の噺に腹を抱えて笑わせてもらった。今回の噺は「借家怪談」である。前振りで「幽霊になるための5大条件」で笑わせられた。そもそも幽霊は女性であると半数を占める中高年女性の気を引く。美しいこと、色が白いこと、痩せていること、足が小さいこと、おしゃべりでないこと・・・とどれもあてはまりそうにない女性陣に鋭く迫り、綾小路きみまろ風の毒舌で笑いをとる。とぼけた風貌から繰り出される自信に満ちた語り口は50代を目前にして円熟してきた。
 日本の伝統的話芸が身近に愉しめる年に一度の恒例イベントだった。