黄昏の住宅街2010年10月08日

 高齢者実態調査が続いている。夕刻に訪問することにしている。高齢者といえども昼間は不在の確率が高いからだ。ここ二三日、黄昏の住宅街を回りながらあらため気づいたことがある。
 新興住宅街の平日の昼間は人通りも少なく驚くほど静かだ。ところが黄昏時になると意外に多くの人たちと出会う。最も多いのは犬の散歩に付き合う人たちだ。リタイヤ後の高齢者が多い。回を重ねた高齢者訪問で顔見知りの人も増えてきた。犬を連れたおばあさんたちとは挨拶だけで済まない場合も出てくる。世間話や近況報告を伺うことになる。道路で孫たちの遊び相手をしているおばあさんを見かけたりする。学校帰りの中高生の姿を見かけるのもこの頃だ。閉めたばかりの雨戸の隙間から灯りが漏れている。台所仕事の水音や皿の触れ合う音も聞こえる。家族たちの夕餉を準備する主婦たちの姿が目に浮かぶ。
 昼間の眠りから覚めた黄昏の住宅街からは、住民たちの生活の息づかいが生き生きと伝わってくる。こんななんでもない風景にどこか懐かしい安らいだ気持ちをおぼえてしまう。「幸せとは自分が幸せだと気づかないでいる状態をいう」。どこかで読んだ本の一節がふと浮かんだ。

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