「ならぬことはならぬものです」2013年02月28日

 過日、大阪府労働委員会の公益委員会議で初めて意見陳述をした。担当したある事件が調査、審問を終えて公益委員会議の合議で不当労働行為に該当するかどうかを判定する段階を迎えたのだ。
 参与委員(労働者委員及び使用者委員)は、合議に先立って公益委員会議で意見を述べることができる。これまでの事件では、担当の公益委員に労働者委員としての意見書を提出するにとどめていた。今回の事件では、更に踏み込んで労働者委員として生の声を伝えることにした。それだけこの事件の重大性と今後に与える影響の大きさを痛感していたといえる。
 定刻に事務局スタッフの案内で会場に入った。比較的狭い部屋に11名の公益委員の他、大勢の事務局スタッフが円卓を囲んでいた。最前列の会長の隣に着席し陳述を始めた。事前に提出していた意見書が出席者の手許にある。意見書を通読するような陳述では意味がない。内容は同じでも論点を四点に整理し直して述べた。
 主張したかったのは、労組活動の実務経験を踏まえた現場視点の事件に対する見方である。判定を下す公益委員は弁護士や学者先生という法律の専門家たちである。法的解釈は彼らに委ねる他ない。ただ不当労働行為か否かの判定は、単なる法解釈の問題ではない。事件を因数分解して不当労働行為の法的要件を具備しているかどうかという判定には違和感が残る。生きた実態経済のもとでの労使関係の在りようについての判断こそが重要である。この事件は、明らかに支配介入であり、それは法解釈以前のレベルの問題だというのが現場感覚だった。「『ならぬことはならぬものです』という他はない」と結んで、公益委員会議での初めて意見陳述を終えた。