高橋克彦著「風の陣--天命篇--」 ― 2015年03月04日

高橋克彦著「風の陣」の第三巻「天命篇」を読んだ。第一巻が「橘奈良麻呂の変」を、第二巻が「藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱」を中心テーマとして展開したのと同様、第三巻では、快僧・弓削道鏡の野望を巡る攻防が展開される。このシリーズを読みながら、あらためてわずか80年余りの奈良朝の政争の激しさに気づかされた。
巻末の「解説」でも触れられているように、この物語は蝦夷たちが主人公ではあるものの「蝦夷の物語」ではないことが分かってくる。都を舞台とした奈良朝の政争物語である。主人公の蝦夷たちは物語の狂言まわしの役回りを演じているかのようだ。
クライマックスは、宇佐八幡宮神託という形で道鏡を皇位継承者に擁立する画策が、神託確認のため遣わされた勅使・和気清麻呂の報告によって頓挫する場面である。道鏡は万全の備えで皇位継承者になる筈である。それがなぜひとりの官吏の無謀とも思える報告であっけなく瓦解したのか。それはかねてからの個人的な疑問でもあった。それが、この作品によってなるほどと思わせるストーリーで描かれている。当然ながら、それは作者の得意とする政治的駆け引きや謀略に満ちたものだった。
巻末の「解説」でも触れられているように、この物語は蝦夷たちが主人公ではあるものの「蝦夷の物語」ではないことが分かってくる。都を舞台とした奈良朝の政争物語である。主人公の蝦夷たちは物語の狂言まわしの役回りを演じているかのようだ。
クライマックスは、宇佐八幡宮神託という形で道鏡を皇位継承者に擁立する画策が、神託確認のため遣わされた勅使・和気清麻呂の報告によって頓挫する場面である。道鏡は万全の備えで皇位継承者になる筈である。それがなぜひとりの官吏の無謀とも思える報告であっけなく瓦解したのか。それはかねてからの個人的な疑問でもあった。それが、この作品によってなるほどと思わせるストーリーで描かれている。当然ながら、それは作者の得意とする政治的駆け引きや謀略に満ちたものだった。
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