老後の幸せの形2009年12月15日

 いつものように朝の散歩の途中でコーヒーブレイクにマクドナルドに立ち寄った。読みかけの文庫本が一段落を迎えてフッと気をぬいた時だった。店内のBGMが突然耳に入ってきた。
 私の好きなJAZZである。アルトサックスが切れ目のないサウンドでテーマを奏でている。ピアノが淡々とリズムを刻んでいる。ベースが控えめながら安定したサウンドでガッチリ演奏を支えている。しばらく耳を傾けた。愉しい小さな幸せを感じるひと時だった。
 学生時代にモダン・ジャズに夢中になった時期がある。毎日のようにジャズ喫茶に入り浸っていた。心地よいリズムを受け止めながら上半身と片足でそのリズムを刻んでいた。プレイヤーたちのアドリブの応酬やいつ終わるか知れないソロのエンディングに固唾を呑んだ。
 老後を迎え、当時のサウンドを呼び起こす演奏を耳にしたとき、当時を回顧し懐かしさに浸っている自分に気づく。その小さな幸せの積み重ねが老後生活にかけがえのないものになっていく。老後の幸せの形は、現役時代に夢中になったことの質と量に負っている部分もあると思った。