水汲み場のオバサンたちの生態2009年12月27日

 住宅街のスーパーの通常有料のイオン水が土日は無料となる。その結果週末の給水機前はオバサンたちや給水当番のリタイヤオジサンたちで行列ができることになる。「お一人様二個までにして下さい。それ以上はもう一度並び直して下さい」と貼り紙がある。我が家には専用ボトルが三個ある。勢いしばしば家内の給水に付き合わされる羽目となる。
 昨日の夕方も、年末最後の週末ということで家内に給水機前まで拉致された。案の定、長蛇の列である。家内と一緒にレジ前で順番を待つ。この20分ばかりのジッと我慢の時間中にオバサンたちの様々な生態を目撃した。
 レジを終えた知人と家内のお喋りが始まった(こうした場合すぐ後で赤の他人を装うことにしている)。知人が韓流ドラマに嵌っているという話題だ。午前中一杯何もできない。見逃した番組のビデオがあると午後も潰れるといった類の話が手を換え品を変えて繰り返される。夢中になると周りが見えなくなる。お喋りがレジ前の混雑に拍車をかけている。かっての井戸端会議は今やスーパーの水汲み場で復活している。
 レジに並んでいるあるオバサンを見て家内が耳打ちする。「あの人が○○さんやで」。ご近所に家を所有している元宝塚のトップスターである。今でも舞台女優として活躍中の筈だが、スーパーで買物中のご本人はどうみてもタダのオバサンである。周囲の誰も気づいていないようだ。連れの親族のオバサンが家内と挨拶を交わした後、元トップスターもこちらに向って会釈をした。思わず会釈を返してしまった。
 息子夫婦と買物中といった風情のオバサンが家内に声をかけて立ち去った。私の関わっているボランティア組織の代表者の奥さんだと教えられた。通りすがりの何人かとも声をかけ挨拶を交わしている家内は、ここでははるかに自信に満ちて生き生きしている。私にとっての苦痛の場である地元スーパーのレジ前は、家内やオバサンたちにとっては社交場であり癒しの場なのかもしれない。