濃霧が生み出す物悲しさ2009年12月24日

 雨戸を開けると一面乳白色の世界に包まれていた。散歩の定刻6時半になっても濃霧が夜明けを押し止めていた。7時前、ようやく薄暮の明かりになって自宅を出た。
 住宅街から農道に抜ける坂道では、街灯の灯りがやけに物悲しく浮かんでいた。有馬川の歩道では桜並木と老木と石橋が白いベールに包まれて幻想的な景色を演出していた。三田に抜ける旧街道だった農道にやってきた。見えるはずの三田の山並みも田園御先が風景も白い幕で遮断されていた。手前の痩せ細ったススキの穂先がくっきりと浮かび、最後の息吹を伝えている様が一層悲しげだ。