女子フィギュアスケートフィーバーの結末2010年02月26日

 マスコミの過熱ぶりに煽られるようにチャンネルを合わせた。女子フィギュアスケートのフリーの生中継である。冬季五輪で日本人選手の金メダルが最も見込める競技という下馬評だった。とはいえショートプログラムで浅田真央が優勝候補No1のキム・ヨナに5ポイント近く離された時点でほぼ決まりだった。にもかかわらずマスコミはこぞって浅田真央の逆転の可能性を手を変え品を変えて報道した。結果、上位3人はショートプログラムの順位通りで終わった。4位だった安藤美姫がひとつ順位を落とした。
 個人的に最も応援していたのは安藤美姫だった。クレオパトラをテーマにコスチュームやメイクもそのイメージで通した安藤美姫がリンクに登場した。テーマ曲が流れる。ハラハラしながら祈るような気持ちで見つめる。懸命に時に笑顔を浮かべながら演じる彼女の緊張感のある美しさに息を呑む。長くて短い4分間が終わった。大きなミスもなくクレオパトラを演じきった。
 彼女の演技を見終えて気づいた。たった一人のアスリートが4分間もの間、観客と世界の視聴者を釘付けにしている。いつ転倒するかもしれない緊張感が張りつめる。一方で女性ならではの華麗さと艶やかさに惹きつけられる。これらが他のどの競技も敵わない女子フィギュアスケートという競技の魅力をうみだしている。「なんでただ走るだけのマラソンが面白いんやろ」とマラソン中継を独占する私を家内がこぼす。そんなスポーツ番組に興味の薄い彼女も女子フィギュアスケートだけは夢中になって見ている。マスコミの女子フィギュアスケートフィーバーもやむなしか。