夏休みの風物詩2010年07月26日

 熱帯夜を過ごした後の朝である。5時半に家を出て歩き始めた。昨夜の暑さの不快感が大きいほど早朝の冷気の心地よさが肌に沁みとおる。この後の日中のうだるような暑さの予感が、今の快適さの満喫を促している。それがいつものコースでない散策となった。
 山口の中心部の西を流れる西川沿いの畦道を歩いた。東側の絶景に見とれながらしばらく佇んだ。畑山と丸山が美しい二重奏を奏でている。明徳寺の甍の曲線がつつましく身を潜めている。かっては上山口の風物だった柳の唯一の生き残りが緑の衣をまとって元気にそよいでいる。手前には成長した水田が緑の褥(しとね)を敷いている。
 公智神社前を過ぎ、さくらトンネルをくぐり、下山口公園にやってきた。入口近くの広場に大勢の子どもたちがいる。前に若いお母さんたちが立っている。ラジカセの音響が聞こえてきた。ラジオ体操の懐かしいメロディーだ。子どもたちが一斉に腕を振り、脚を曲げ、ジャンプする。夏休みの風物詩が今も変わらず続いている。多くのイベントが姿を消していく中で、ラジオ体操といういかにも日本的な行事がなお残されていた。嬉しかった。ここでもしばらく佇んだ。デジカメを構えた不審なオヤジ姿を気にしながら夏休みの風物詩を切り取った。