髭を濡らす濃霧2011年10月31日

 朝6時過ぎに自宅を出た。薄闇の中に乳白色の薄いベールに包まれたいつもと違う風景が飛び込んできた。昨日のしとしと雨の名残りが夜明け前の冷え込みで濃霧を産み出していた。これを見てデジカメを取りに自宅に戻った。
 有馬川沿いの土手道を進むにつれて川面に立ちこめるベールが厚くなる。川向こうの国道176号線をライトを点けた車輛が行きかう。霧の中から突然黒い人影が現れた。散歩帰りの顔見知りのオジサンだった。
 霧の景色の不思議さを思わずにはおれない。目の前にあった筈の白い幕が歩みを進めるたびに遠ざかる。どこまで行っても自分自身の周りの白いベールを目にすることはない。何気なく口髭に触れた指先がしっとり濡れていた。自分では気づかないうちに身体中に濃い湿気が降り注いでいたのだ。ふと放射能を浴びるというのはこんなことなのだろうかと思ってしまう。
 名来橋が霧のベールをバックに一層風情あるたたずまいを見せていた。散歩道を折り返し有馬川を右手に眺める頃には、川面の濃霧は日の出の明るさを漂わせていた。

 今日の夕刊に「濃霧で福知山線が徐行」の見出しの記事があった。6時55分頃、神戸市北区道場町の道場町駅周辺で発生した濃霧がJR電車の運休や徐行運転を余儀なくさせたとのこと。同じ頃近くを歩いていたブログ記事を10時間後に更新した。