アッケラカンの福士加代子の明るさ2013年01月27日

 大阪国際女子マラソンのテレビ中継を観終えた。今回も期待外れの結果だった。高橋尚子、野口みずきを擁して隆盛を誇った日本の女子マラソンの勢いはもはや消え失せた感がある。
 中盤までは有力選手5人が先頭集団を形成する順当なレース展開だった。招待選手の渋井陽子、福士加代子、小崎まり、渡邊裕子にウクライナのガメラシュミルコである。道頓堀通りの折り返しを過ぎた頃から渋井、渡邉が遅れ始め、27km付近からペースメーカーのペースアップに福士だけがついていき、ガメラシュミルコと小崎まりが遅れをとる。30kmでペースメーカー二人が離脱すると福士の一人旅が始まった。35kmでは2位ガメラシュミルコとの差を30秒にまで広げ、独走態勢に入ったかに見えた。そこから最近の国内レースの悪夢のパターンがまたもや始まった。徐々にペースを落とす福士の後ろを終盤に地力を発揮するガメラシュミルコがじわじわと差を縮めてくる。福士の後に映る彼女の姿が徐々に大きくなる。マラソンレースの手に汗握るドラマ展開である。残り900mの長居競技場の周回道路に入った途端に追いつかれそのまま一気に抜き去られた。
 福士は日本人トップの2位だが、世界選手権代表選考基準の2時間23分59秒にも及ばない平凡な記録だった。ゴール直後に笑顔を見せながら何やら呟いている。そんなに元気なら最後のガンバリを見せてくれよ!とはテレビの前の無責任なオヤジのたわ言である。福士としては自己最高を17秒更新し、過去2度の大阪国際での不本意な結果に雪辱を果たしたという達成感もあったのだろう。レース後の番組インタビューでは彼女のアッケラカンとした明るいキャラクターが全開していた。このレースでの日本人選手の不振ぶりにもかかわらずその明るさに救いがあると思った。今スポーツ界には、体罰を容認するような悲壮感をかもしだす風土とは無縁の自由奔放な精神的なタフさこそが求められている。
 25歳の若手・渡邊裕子が終盤に小崎を抜き、自己記録を大幅に更新して3位に入った。ママさんランナーとして初めてレースに挑んだ小崎まりも4位と健闘した。このブログで何度か取上げ密かに応援していた渋井陽子は、残念ながら8位と不本意な結果に終わった。
 日曜午後のひと時を国際女子マラソンで愉しんだ。