半年ぶりの大阪外出の出来事2016年04月04日

 半年ぶりに大阪に出かけた。大阪市大病院の診察予定日だった。現役時代には毎日通っていた道のりを車窓から懐かしく眺めた。176号線の名塩のヘアピンカーブ沿いのさくら並木が満開の見事な枝振りを広げていた。
 満員の大阪行きの新快速電車に吊革を握りしめて揺られていた。古希を迎えた身には窮屈な姿勢の30分の立ちっ放しは堪えるものだ。尼崎に到着した時、幸運にも目の前の席が空いた。着席して文庫本を広げた。
 信号待ちで電車が停車した時、横の女性のバッグにつけられたマタニティ・マークが目についた。とっさに立ち上がって若いOLさんに「代わりましょうか?」と声をかけた。娘が妊娠中の通勤時に同じマークをつけていて席を代わってもらったという話を思い出したのだ。「いえいえ、もうすぐ大阪駅ですし」とのこと。考えてみれば終着駅の近さもさることながら、声をかけたのがひげ面の高齢者とあってはためらいが先に立ったとしても無理はない。そのまま着席したもの、大阪駅到着時にかけられた「お気遣いをありがとうございました」という女性の言葉が嬉しかった。
 病院の診察室に入った。問診と触診の後、半年後の検査を告げられた。2007年3月の皮膚癌手術後まる9年が経過した。次回のCTと血液検査が最終検査となる。そして来年4月の診察で10年に及ぶ癌治療の卒業を迎える。永かった病気治療のマラソンのゴールが見えてきた。

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