2カ月ぶりに在宅療養中の弟を見舞った2023年11月15日

 加古川の弟が半年ほどの入院を終えて8月末に退院した。半年もの入院生活が胃瘻の手術も含めて弟の心身に大きなダメージを与えていた。9月中旬に在宅療養を始めたばかりの弟を見舞った。入院の時より回復したものの、やせ細った身体をベッドに横たえるばかりのほぼ寝たきり状態だった。言葉を発することもままならず会話にならなかった。
 そんな弟を懸命に在宅介護している奥さんから椅子に座った弟の写真と「会いたいらしい」とのコメントを添えてメールが届いた。気がかりだったが多忙になった地域活動にかまけて見舞ってやれなかったことを悔いた。そぐにお見舞いの段取りをした。
 お見舞いの当日、1階奥の介護用ベッドの脇で椅子に腰かけた弟の姿が目に入った。それ自体が回復ぶりを物語っていたが、そばに寄って話しかけた時、予想以上の回復ぶりを知った。何よりもちゃんとした言葉を発するようになっていた。会話ができるか否かは療養生活の大きな分岐点だ。本人の想いを正確に受け止められるかどうかは介護者にとっても意味合いが違ってくる。
 「今何が一番したいんや?」と尋ねた。「口からご飯を食べたい」という返事に、あらためて胃瘻という治療の過酷さを想った。大病を得て様々な欲望を奪われた身には好きなものを食べられるという食欲はかけがえのない楽しみだろう。
 翌日から初めて2泊3日の”レスパイト入院”ができるとのこと。介護する奥さんはようやく自分の通院や身の回りの処理の機会ができる。ゴールの見えない在宅介護にはショートステイやレスパイト入院は欠かせない。
 弟の予想外の回復ぶりを確認した2カ月ぶりのお見舞いだった。