団塊オヤジの地域デビュー ②地域組織の担い手たち2009年02月06日

 私たちの日常生活は、最小生活単位である地域に属して営まれている。通常それは加入している自治会が単位であり、私の在住地域では1900世帯の新興住宅街全体がひとつの自治会を構成している。 自治会は会員である住民の会費で賄われる自主組織であり、地域活動の中心組織である。防犯・防災、環境・衛生、親睦・交流、福利厚生、慶弔等の基礎的住民サービスを実施している。併せて市町村行政の支援・協力活動の受皿機能でもある。
 地域には自治会以外にも様々な団体や組織があり、独自にその目的に沿った地域活動を実施している。社会福祉協議会(社協)、青少年愛護協議会(青愛協)、スポーツクラブ21、老人会、婦人部、子供会等である。
 地域組織の形態は、古くから存続している在来地域も新興住宅街も概ね変りはない。只、地域組織の役員の顔ぶれは在来地域と新興住宅街ではかなり異なるようだ。在来地域の役員は、かっての村社会の共同体意識や幼ない頃からの仲間意識が共有化され、比較的円滑に選考されていると思われる。これに対し新たな造成地に人工的に寄せ集められた新興住宅街では事情は一変する。自治会の隣保長や班長などの役員は、大方は輪番で回され、会長・副会長等の三役は班長相互のくじ引き等でやむなく引き受ける。そしていずれの役員も1年の任期を終えれば見事に総入替えとなる。これが私の地域の実態であり、新興住宅街に共通する一般的なパターンではないか。
 その他の地域組織の役員選びは少し事情が異なる。少なくともメンバーはボランティア活動にある程度の関心と意欲をもって参加している。また参加が可能な時間的ゆとりのある人たちでもある。それだけに限られたメンバーが長期間活動を支える傾向が強い。役員ともなると一般的にその組織での活動経験の長いメンバーから選ばれることになる。結果的に各組織の役員は、子育てを終えた中高年主婦層と高齢の男性といった限られた層になってくる。また社協や青愛協などの福祉組織の役員は他の団体からの派遣役員も多く、相互に兼務し合う事例も多い。なり手がない等の事情で役員の長期化、高齢化の傾向も見られる。新たなメンバーの参加を促し、人材の裾野をを広げることがこれらの地域活動の活性化にとって急務である。リタイヤを迎えた団塊オヤジたちの円滑な地域デビューが求められている背景がここにある。またそのための具体策と環境づくりが求められている。
 一方で、地域活動の中心組織である自治会の役員は毎年交替し、その他の組織の役員は経験豊かであるという問題がある。このねじれ構造が各組織が連携し合って地域活動の総合力を発揮する上でのネックとなっている。自治会組織の在り方や役員選考方法の改革が問われている。