黒山羊ハッチャンとゴミ回収車2009年02月12日

 朝のいつものウォーキングコースの途中だった。黒山羊ハッチャンのいる石材屋さん脇の道にさしかかった。前の道をゴミ回収車が通り過ぎ、石材屋入口横のゴミステーションに向った。その時だった。広い草むらの中央で悠然と草を食んでいたハッチャンが猛然と走り出した。見たこともないスピードだ。そして金網の塀に飛びついてつま先立ちをした。あっけにとられながら何事かと近づいた。 
 30歳前後の回収車のドライバーが塀の前に立ってポケットから取り出した市販のサンドイッチのラップを剥いていた。塀の上に前足をのせて立っているハッチャンの傍にサンドイッチが投げ込まれる。ハッチャンは塀から降りて夢中で食べ始める。ゴミ回収の定期コースでの1場面である。恐らくコンビニでのゴミ回収を済ませた後のこのスポットなのだろう。ハッチャンの迷いのない本能的な振る舞いが、長年にわたる習慣化されたシーンであることを告げていた。ハッチャンのドライバーに寄せる信頼感を物語っていた。
 私と目が合ったドライバーが、はにかんだかのように口元を歪めた。いたずらを見つけられた幼児のような笑顔だった。過酷な仕事の合間に見つけた彼の癒しのひと時を一緒に愉しんだ。