地球の歩き方・スペイン(スペインの旅エピローグⅡ)2010年11月24日

 「地球の歩き方」は海外旅行に出かける際の必携の書である。書棚には10年前の韓国旅行以来の各国の「地球の歩き方」10冊が並んでいる。もちろん今回のスペインにも持参した。
 「地球の歩き方」は基本的には海外に個人で旅をする人向けのガイドブックである。それだけに街歩きや宿さがしや飲食店ガイドの情報が豊富だ。それらはパックツアーで出かける分には余分な情報と言えなくもない。とはいえ現地ガイドが手当てされないという前提だけに個々の観光スポットのガイドは懇切丁寧だ。事前にその知識を頭に入れた上で現地ガイドの説明を聞けばより一層理解が深まるというものだ。
 それ以上に貴重なのは国ごとの基本情報に加えて気候、郷土料理、伝統文化や芸能、歴史や年表などがコンパクトにまとめられている点だ。それらはお仕着せツアーではあっても異文化体験という旅行の最大の醍醐味をよりよく満たしてくれる。とりわけ歴史はその国の成り立ちや現在の風土を知る上で欠かせない情報だ。目前の観光スポットがその国にとってどんな意味を持つのか、またその国の歩みにどんな役割を果たしたのか。そうした点を念頭に眺める上での必須情報と言えよう。
 「地球の歩き方・スペイン」版にもスペインの「紀元前のイベリア半島」から「スペイン共和国から現在まで」に渡る歴史が2頁にコンパクトにまとめられている。とはいえスペインのドラマチックな歩みと同様にその中身は濃い。今回見学したスポットはそれらの歴史に刻まれた痕跡でもある。ガウディーのバルセロナ、タラゴナのローマ遺跡群、各地のイスラム様式の残るカテドラル(大聖堂)、ラ・マンチャ地方の風車群、イスラム最後の拠点アルハンブラ、文字通りイスラム寺院の名残りをとどめるメスキータ、栄華を極めたスペイン帝国王家のコレクションであるプラド美術館・・・。スペイン各地を巡るツアーは刻まれた歴史の名残りを確認する旅でもあった。