藤沢周平著「暁のひかり」 ― 2011年11月30日
塩野七生さんの渾身の大作「ローマ人の物語」文庫版全43巻を9年間に渡って読み継いでとうとう読み終えた。私の読書体験の中でも一二を争うインパクトのある心に残る著作だった。さて次に何を読むか・・・と書棚を眺めた。結局、選んだのは藤沢周平だった。そして市井物の短編6編を納めた「暁のひかり」を読み終えた。
どの作品も存在感のある女性に翻弄される不器用な男の一途な想いがテーマになっている。主人公の多くは世間から外れた博打打ちである。それだけに男の一途さが切なく読者に伝わってくる。
もっとも印象的で味わい深く読んだ作品が「しぶとい連中」だった。主人公は顔に刃物傷のある凶悪な面相で賭場の金の取り立てを生業とする熊蔵である。その熊蔵が川岸で子供二人を道ずれに身投げしようとしている女に出会う。身投げを止めて小金を渡して立ち去る熊蔵の後を母子三人がどこまでもついてくる。追い払ったと思って眠り込んだ熊蔵が翌朝目を覚ますと三人で朝餉の支度をしている。そしてそのまま三人は居ついてしまう。いつのまにか熊蔵には三人がかけがえのない存在になっていく。三人を家族としてキチンと受入れるにはそれなりの金が必要だ。熊蔵は命を賭けた取り立てを決意する。辛うじて殴り合いの勝負を制した熊蔵は満身創痍で我が家に辿り着き、大金を今は割りない関係となった母親に渡す。眠気に襲われながら熊蔵が呟く。「しぶとい奴らだ」。
熊蔵がずるずると母子に引き込まれていく描写が実にいい。悪相で強面の取立て屋の熊蔵が他愛もなく手玉に取られる過程に読者は何ともいえない共感を覚えてしまう。こんな作品を残した藤沢周平とその作品に死ぬまで付き合うことになるだろうと思った。
どの作品も存在感のある女性に翻弄される不器用な男の一途な想いがテーマになっている。主人公の多くは世間から外れた博打打ちである。それだけに男の一途さが切なく読者に伝わってくる。
もっとも印象的で味わい深く読んだ作品が「しぶとい連中」だった。主人公は顔に刃物傷のある凶悪な面相で賭場の金の取り立てを生業とする熊蔵である。その熊蔵が川岸で子供二人を道ずれに身投げしようとしている女に出会う。身投げを止めて小金を渡して立ち去る熊蔵の後を母子三人がどこまでもついてくる。追い払ったと思って眠り込んだ熊蔵が翌朝目を覚ますと三人で朝餉の支度をしている。そしてそのまま三人は居ついてしまう。いつのまにか熊蔵には三人がかけがえのない存在になっていく。三人を家族としてキチンと受入れるにはそれなりの金が必要だ。熊蔵は命を賭けた取り立てを決意する。辛うじて殴り合いの勝負を制した熊蔵は満身創痍で我が家に辿り着き、大金を今は割りない関係となった母親に渡す。眠気に襲われながら熊蔵が呟く。「しぶとい奴らだ」。
熊蔵がずるずると母子に引き込まれていく描写が実にいい。悪相で強面の取立て屋の熊蔵が他愛もなく手玉に取られる過程に読者は何ともいえない共感を覚えてしまう。こんな作品を残した藤沢周平とその作品に死ぬまで付き合うことになるだろうと思った。

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