ご近所の奥さんたち2011年11月06日

 先日、夜9時過ぎにボランティア組織の会合から帰宅した時のことだ。玄関先に見慣れない女性用の履物が2足並んでいた。リビングに入るとテレビの前の座卓を囲んで家内がご近所の奥さん二人とおしゃべりに花を咲かせている。私の指定席は既に占拠され、観たかった番組は断念する他ない。オバサン三人の場所移動を要請するなどという暴挙はおよびもつかない。やむなく窓際のパソコンデスクに直行した。メールやお気に入りブログのチェックなど今すぐしなくてもよいことをしながら過ごしていた。
 三人の会話がいやでも耳に入る。どうやら奥さんの一人がご主人と喧嘩してうっぷん晴らしに亭主が留守の我が家を訪ねたようだ。そこへ自家栽培野菜を持参頂いたもう一人の奥さんが合流した。話題は自ずと熟年世代の夫婦関係が中心になる。「ウチとこは主人とほとんど会話がないねん」「どこも一緒やで」。そのうち私に気遣ったかのようにひとりの奥さんに「その点、ご主人は地域のことをいろいろやってはるからえぇなぁ~」と声をかけられた。「リタイヤしたら夫婦は適度な距離感が必要やから」と応じた。それをきっかけにオバサンたちの会話の仲間入りをする羽目になった。
 家内たちが日頃どんな風に旦那を見ているかがよく分かった。併せてつくづく奥さんたちの日頃の情報交換と結束の固さをを思い知らされた。夫婦の様々な場面でのいざという時の対処方法のハウツーは万全である。それに引き換えどこまでも孤立無援の闘いを強いられているのが亭主族だ。いざという時の備えがまるでない。奥さん方の攻勢の前になすすべなく白旗を掲げるのがオチだ。夫婦喧嘩をしたご近所のご主人に同情したながら、オジサン同盟結成の必要を痛感した。

終始笑顔の”復活”桃子2011年11月06日

 日曜夕方の楽しみのひとつに女子ゴルフのテレビ中継観戦がある。石川遼が不振で中継画面に登場することが稀な今シーズンは男子ゴルフを見ることは少ない。そんな昨日の日曜夕方である。久々に手に汗握る感動の結末の女子ゴルフ中継を観た。
 日米両ツアーを兼ねた女子ゴルフのミズノ・クラシック最終日である。最終日に単独首位の最終組でスタートしたのは久々にテレビ画面で観る上田桃子である。その上田桃子の表情に驚かされた。終始笑顔を見せている。それもごく自然に浮かべている笑顔である。終始トップを守ったままプレッシャーのかかる最終ホールに近づいてもその笑顔は絶えることはない。17番で中国のフォン・シャンシャンに並ばれ、18番で上田桃子はバーディーチャンスを迎えた。入れば優勝というパットを外した時、今シーズンの実績でははるかに上回るフォン・シャンシャン相手のプレイオフの敗退を予感させられた。こうした場面での日本人選手のひ弱さをしばしば味あわせられていたからだ。まして相手はタフな中国人選手である。それでも今日久々にみた上田桃子の笑顔に窺える自信と精神的タフさに期待するものがあった。
 その上田桃子が、プレイオフ3ホール目で見事に勝利した。ウィニングボールがカップインした直後に上田桃子の表情がもろくも崩れた。手で顔が覆われた。優勝インタビューの冒頭は言葉にならない。溢れる涙が止まらない。それはあたかも笑顔で抑え込んでいたプレイ中の感情を一気に爆発させたかのようだ。
 アメリカツアーに参戦して4年目を迎える。2年間優勝から遠ざかり、今シーズンも9月の2週連続予選落ちなど不振続きである。「もう勝てないんじゃないか」「もうゴルフをやめたい・・・」。そんな言葉ももらしていたという。そんな上田桃子の優勝だった。それを可能にしたものがプレイ中終始笑顔で通したタフな精神力だったのだろう。そのタフさが優勝の瞬間に一気に感情を露わにした落差もまた魅力的だった。