寒風の中の万里の長城2011年11月19日

 リッツカールトンの朝食は6時半からだった。前日に現地ガイドの董さんから「北京のホテルでは随一の朝食ではないか」と折り紙つきの朝食である。アメリカンブッフェスタイルの朝食に中華食材を加えた食材の数々は豊富で味わい深いものばかりだった。
 7時40分にホテルを出発したバスが北京オリンピックの「メインスタジアム・鳥の巣」と「水泳競技場・水立方」近くの道路脇に停車した。オリンピック公園までは行けずにそれぞれを遠望するだけの観光だった。 北京観光のハイライトの世界遺産・万里の長城はそこから1時間半の市の北西郊外にあった。長城の中でも最も整備された八達嶺の北ロープウェイ山麓に着いた。ロープウェイで一気に山頂まで昇り、そこから歩いて壁に挟まれた長城を歩く。観光客がラッシュアワー並みにひしめく中を石畳の斜面や階段を寒風にさらされながらひたすら昇る。ようやく城楼のひとつに辿り着き、仲間6人で記念写真。振り返ると稜線に延々と続く長城の雄大な光景が広がっていた。宇宙衛星から唯一確認できる地上の建造物という。その迫力はさすがというほかはない。
 飲茶付の広東料理の昼食を済ませて明十三陵に向った。明朝の16皇帝のうち13皇帝の陵墓群がある。万暦帝の巨大な地下宮殿の石造りの墓室には石の棺や玉座が残されている。自らの陵墓に三年分の国家財政に相当する財力を傾けた中国皇帝の巨大な権力に舌を巻く。
 続いてパックツアー名物のショッピングに連れて行かれる。最初は総合民芸品店だった。家内が翡翠の言値2.5万円のペンダントトップに関心を示すと、俄然店員の攻勢が始まる。ここで青年期を中国で過ごした義父の中国人との買物交渉術の遺言が蘇る。1万円まで値切った所で「ヤッパリ止める」と帰りかけたら八千円の声がかかる。最後に勧誘を諦めさせるつもりで「5千円なら買う」と言ったらほんとにその値段で「了解」となった。結局売価の5分の一が買価となった一席である。
 夕食は唐縁というレストランの四川料理だった。酸味と辛味の強い味付けの痲婆豆腐や棒棒鶏、坦々麺などの大皿がターンテーブルに次々並べられた。
 夕食後に楽しみのひとつ雑技団観劇で天地劇場という劇場に向った。一人3,900円のオプショナルツアーにほとんどのツアー仲間が参加した。事前のガイドさんの情報では写真撮影OKだったが開演してカメラを構えた途端に、後方からグリーンの点滅光線がモニターに照射され撮影禁止の警告が発せられた。最後のフィナーレで場内が明るくなって何とか撮影可能になった。それでも本場中国でのショーマンシップに溢れた雑技団の目を見張るような完成度の高い曲技の数々を堪能した。
 10時過ぎにホテルに戻り、今夜はさすがにプチ宴会もなく入浴後に11時前に眠りに就いた。