絵馬を囲む新年茶話会に出かけた2012年01月30日

 昨日の午後、「絵馬を囲む新年茶話会」という地元の催しに出かけた。下山口の財産区・丸山会主催である。昨年の同じ頃に丸山稲荷神社で見つかった絵馬・扁額の説明会があった。http://ahidaka.asablo.jp/blog/2011/01/24/5647189 昨日の催しはその絵馬・扁額にまつわる二回目の催しである。参加者は地元下山口の住民が対象だったが、地元知人から情報を聞き、面識のある丸山会の会長の了解を得てオブザーバー参加した。
 会場の下山口会館1階和室に年配の男女10数人が集まった。牛の絵馬奉納者の子孫の女性の姿もあった。冒頭に丸山会会長から昨年の絵馬説明会以降の経過と今日の会の趣旨が述べられた。見つかった4点の絵馬・扁額のうち幕末の文久元年(1861)奉納の「扁額・俳額」には、60余りの冠句(※冠句とは、江戸時代に大流行した文芸で、上の五文字を出し付句の十二文字を作句するもの)が記されている。扁額にはこれらの句が二万点もの中から選ばれたものであると記されており、選ばれた人の在所は山口周辺だけでなく東条、兵庫、灘と広域にまたがり、当時の丸山稲荷への信仰の大きさが窺える。今回はこの扁額を中心とした茶話会である。そんな趣旨から地元山口の冠句の会「鶯声会(ほうせいかい)」の7名が招かれた。
 続いて、扁額の解読に当たった市郷土資料館の学芸員・俵谷和子さんから下山口の絵馬についての解説があった。現存する絵馬の最古のものが室町時代のもので文献で確認できる絵馬の存在は平安中期にまで遡れることなど絵馬の歴史や、願い事を託した小絵馬、絵師による芸術作品としての大絵馬とその展示場としての絵馬堂の存在などの絵馬の種類などが述べられた。特に見つかった4点のうち天保14年奉納の白狐の絵馬は、丸山稲荷神社の天保11年の再建にまつわる奉納絵馬と思われるという指摘は興味深かった。
 その後、鶯声会代表の冠句の会の状況が述べられた。山口でも以前は会員も多かったが現在は8名だけである。二ヶ月毎に会が開催され三つのお題に各自二句ずつ作句し相互に評価し合って優秀作品を選定する。ちなみに二月のお題は「さざめ雪」「思案して」「気にかかる」でこの後に各自七文字と五文字を追句する。
 最後に絵馬や丸山会との関わりを中心に参加者全員の自己紹介があり、予定時間をオーバーして2時間ほどの茶話会が終了した。