バリバラ「障害と笑い どこまでOK?」2013年07月07日

 7月5日放映のNHKEテレのバリバラの録画を観た。「障害と笑い どこまでOK?」という挑戦的で意欲的な番組だった。玉木幸則(脳性麻痺)、大西瞳(義足のアスリート)、桂福点(全盲の落語家)という三人の障がい者レギュラー陣が、自身の障がいをネタに笑いを取ろうというトンデモナイ番組である。
 玉木幸則はプロの漫才師と組んで、早口言葉が得意と言って麻痺でろれつの回らないトークを披露する。大西瞳は義足を持ち上げて左右に動かす「ワイパ~ッ」、取り外して顔にあてて「ひとり膝枕~ッ」などと一発芸を披露する。桂福点は机に置いた義眼に向かって話しかけるひとりコントを演じる。
 大阪教育大学キャンパスで収録された番組は、百人の学生を視聴者にそれぞれの障がいいじりの芸を、「アリかナシか」の判定を求めるというものだ。玉木、桂の芸は概ね受け入れられたようだが、大西の芸は義足の取り外しという視覚的な衝撃度の大きさもあってかわずかながら「ナシ」が多数を占めた。個人的には本人の明るさとも相まって玉木の芸を屈託なく愉しめた。
 それにしても相変わらず凄い番組である。従来タブー視されてきたテーマを次々に取り上げ、意欲的に健常者と障がい者の壁を乗り越えるための問題提起をしている。
 私自身も6年前に病を得て右手親指を失った障がい者である。自分では自身の障がいをそれほど気にはしていない。むしろ意識的にそのことに触れないようにしてくれる周囲の気遣いに戸惑いがある。地元小学校で4年生を対象に授業をした経験がある。休憩中に目ざとく私の欠けた親指を見つけた子供たちは私の周りに寄って来て「先生!親指どないしたん?」「可哀そうにななあ~」と口々に言う。中には私の欠けた親指の根元を撫ぜてみる子もいたりする。その屈託のないあっけらかんとした振る舞いに救われた想いをした。これでいいのだ。授業再開後、右手を前に突き出して休憩中の出来事を話し、親指が欠けた事情を語った。
 世の中には多様なハンデキャップを持った人たちがいる。セクシャルマイノリティーなどの多様な生き方を選んだ人たちがいる。多様な価値観が存在する。そうした多様性をありのままに率直に認め合い受け入れることこそが、多様な存在が共存できる社会に欠かせない。

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