関口祐加監督「毎日がアルツハイマー1・2」2018年04月30日

 認知症を発症した母親の介護の日々を映像で綴ったドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」のDVD2巻を購入し観賞した。認知症関係者の間では知る人ぞ知る著名な作品で、かねてからぜひ観賞したいと思っていたものだ。
 第1巻は、監督である関口祐加氏が79歳の母親の認知症発症を機に滞在中のオーストラリアから帰国し、2年半に及ぶ「毎日がアルツハイマー」の介護の日々を動画で納めたものだ。現在進行形の認知症介護の生々しい現実を泣き笑いをこめたリアリティ溢れるタッチで追っている。
 第2巻は、前作から2年を経て83歳を迎えた母親の閉じこもり生活からの変化を伝えるシーンから始まる。デイサービスに通い始め、嫌がっていた洗髪を受入れ、監督である娘と外出もする。反面、感情の起伏が激しく突然怒りだしたり一日中ベッドに引きこもることも。そんな時、娘は「パーソン・センタード・ケア(認知症本人を尊重するケア)」という言葉に出会い、自らその最先端の認知症介護の在り方を知るためにイギリスに渡る。本人の人柄、人生、心理状態を探り、ひとりひとりに適切なケアを導き出す介護の実践の現場を体験する。
 認知症介護という将来訪れるかもしれない現実に多くの人が不安を抱いているだろう。この作品はその認知症介護のありのままの生々しい現実を映像を通して教えてくれる。当事者と介護者が母親と実の娘という関係の介護生活である。言いたいことを言い合える関係だけに救いがあるという一面があるのかもしれない。それでもきれいごとでない等身大の視線での映像化は、ベールに包まれた不安感を取り除き観るものにある種の安心感をもたらしてくれる。

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