ハム太郎ポシェット2007年03月15日

 手術を終えて1週間が経った。経過は順調だ。日常生活もある点を除いては手術前に戻った。昨日は妻の手を借りて術後はじめてのシャワーも浴びた。厄介でうっとうしいのは、右腋下にぶら下がるチューブの存在である。
 手術で右腋下のリンパ節を切除した。その結果、右腕の血液やリンパ液等の体液が腋下に滞留し還流しなくなっている。そこで右腋下に挿入したチューブからそれらの体液(ドレーン)を体外に流出させる処置が施された。チューブの先端に繋がれたJ-VACという特殊なビニール袋が流出された体液を収納する。
 手術直後のチューブは血液を中心に真っ赤に染まっていた。日を追うごとに血液からリンパ液に比重を移しチューブの色は透明化してきた。順調な経過とのことだ。チューブの取り外しは流出量で決まる。毎日10時にJ-VACのドレーンをメジャーに移して流出量が測定される。術後3日目に60mlに達してピークとなり以後7日目の今日まで同じ量が続いている。チューブの取り外しはまだまだ先になりそうだ。
 ところでチューブに繋がれたJ-VACは手に持って行動するわけにはいかない。何かに収納して首から吊るすほかはない。看護師さんに手作りポシェットを貸与してもらった。利用対象者は子供が多いということで、なんとも可愛いポシェットである。アニメキャラクターのとっとこハム太郎と仲間たちの図柄である。ピンクの布地が可愛さに拍車をかけている。どうみても60を越えた髭面のオヤジが身につける代物ではない。とはいえオヤジの側に選択の余地はない。常時これをお供に日常生活を過ごす羽目に陥っている。エレベーターで鉢合わせた顔見知りの幼児連れの若い母親が子供に囁いた。「可愛いポシェットやね~」。赤面しながら笑顔を返すしか手はない。
 院内ウォーキングもこのスタイルである。今日も首からピンクのハム太郎ポシェットをぶら下げたオヤジが院内を闊歩する。