NHKスペシャル「母と息子3000日の介護記録」2013年11月24日

 昨晩放映されたNHKスペシャル「"認知症800万人"時代・母と息子3000日の介護記録」の録画を家内と一緒に観た。今や日本の認知症高齢者は予備軍を含めて800万人にのぼるという。番組は、NHK元ディレクターの相田洋氏が、母親の認知症発症から最後を看取るまでの3000日に及ぶ在宅介護の実態を撮影した記録を中心に構成されている。この記録を観ながら相田氏本人と医療や福祉など第一線の専門家4人が意見を述べ合い、日本の認知症介護の現実と課題を浮き彫りにするというものだ。
 見応えのある番組だった。何よりも相田氏がありのままの介護の実態を母親と自分自身をさらけだしながら8年余りに渡って映像化している点は賞賛に値する。なぜならそれは誰もが今後遭遇するかもしれない現実をビジュアルに伝える貴重な記録だから。言葉や文章では伝えきれない実態が実感として生々しく伝わってくる。垂れ流されるウンチとの格闘など介護の最も厄介な場面も余すことなく映し出される。映像を見ながら、専門家たちからは、介護保険の活用や在宅型介護の施策利用を通した対応が助言される。
 他人事ではないと思った。家内も同様の想いを持った筈だ。ビジュアルな映像を通して認知症介護の現実を介護される立場も含めて自分自身の問題として捉えることを促された。それこそが、映像分野に永く関わったジャーナリストであった相田氏に、この記録を撮り続けさせた動機だったのだろう。
 今晩9時からも同じシリーズが放映される。必見である。