NHKドラマ10「サイレント・プア」2014年04月30日

 昨晩、NHKドラマ10「サイレント・プア」の第4回目を観た。第1回目の「その手を離さない」を観た時、インパクトのあるいい番組だと思った。以来欠かさず観ている。
 今、サイレント・プア(声なき貧困)という、「見えない貧しさ」が広がっている。この問題に立ち向かうべく新たに全国各地に登場したのが、コミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW) という仕事だ。CSWとは「地域において、支援を必要とする人々の生活圏や人間関係を重視した援助を行うとともに、地域を基盤とする支援活動を発見して支援を必要とする人に結びつけたり、新たなサービスを開発したり、公的制度との関係を調整したりすることをめざすもの」と定義されている。
 ドラマの主人公は深田恭子演じる東京下町の社会福祉協議会(社協)のCSW・里見涼である。第1回以降、彼女は、ゴミ屋敷の主、引きこもり、ホームレスと、懸命に生きながらも現代の社会的孤立の淵に沈んだ人たちを対象に愛する下町を駆けずり回ってきた。
 そして第4回目の今回は若年認知症を患う年配の女性がテーマである。涼の親友である民生委員・石田敬子の母親・敏子は若年認知症を患っている。ある日、敏子は敬子の幼い娘とともに行方不明になってしまう。涼は社協の緊急メールを一斉配信して幅広く情報を募り、敏子を無事保護する。社協の緊急メールの一斉配信はそれまでの行政ルールからは多少逸脱した手法だった。それでも涼は市の担当課長にむしろこの手法こそ「徘徊緊急救援メール」として認知症の徘徊に苦悩する人たちに必要なシステムではないかと訴える。
 社協、民生委員など従来、ドラマではあまりなじみのない役職が登場する。高齢化社会の進行で、実社会ではそれだけなじみ深い言葉として定着していることの反映だろう。CSWという聞き慣れない言葉も今後もっと定着するに違いない。
 福祉分野の行政施策は民生委員の立場からも多くの矛盾や問題点を感じる。制度の狭間の矛盾や問題点をどのようにカバーできるかが問われている。それこそがCSWの役割であり、社協や民生委員が担うべき分野なのかもしれない。このドラマはそうした課題を見事に捉えて問題提起している。毎週火曜日10時からNHK総合テレビで放映される9回シリーズの番組である。残り5回がどんなテーマで繰り広げられるのかたのしみだ。

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