花ちゃんの「笑い声」誕生の瞬間2016年03月01日

 じいちゃんの膝で向き合って立っちした花ちゃんが、いつものようにア~ウ~とおしゃべりを始めた。視線が合うとおしゃべりモードは一気に加速する。瞳を大きく開けてじいちゃんをジッと見つめながらヴァ~ヴゥ~と覚えたての新語を次々と発する。負けじとじいちゃんも大きな声で花ちゃんの言葉を復唱する。祖父と孫の意味不明な掛け合いが続く。
 時おり花ちゃんが口角をあげ目を細めて満面の笑みを送ってくれる。その表情を目にしてじいちゃんは何物にも代えがたい至福のひと時に包まれる。そしてふと思いついた。この笑みを笑いにもっていけないか。
 母親である娘を除けばじいちゃんは誰よりも花ちゃんと接する時間が多い。そのためかじいちゃんはギャン泣き花ちゃんをアッという間になだめるあやし名人である。その実績からすれば花ちゃんに最初の笑い声をあげさせるのはじいちゃんをおいて他にない。
 花ちゃんはあやしてくれる相手の表情を敏感に感じ取って反応している。笑顔を見せれば笑顔を、赤ちゃん言語で語りかければ同じように答える。笑い声を聞こうと思えば笑うしかない。ここは一番作り笑いを連発しよう。高校時代は演劇部に所属した。笑いを演じることに抵抗はない。花ちゃんの顔面に向けて様々な笑い声を浴びせかけた。途中から娘が父親の意図を知って横で固唾を呑んでいる。何度か繰り返すうちに花ちゃんの笑顔が爆発した。キャ~ッ、キャ~ッという笑い声に転じたではないか。思わず娘に叫んだ。「わろた!わろた!」。「ウッソ~」とあきれる娘。かくして花ちゃんの記念すべき初めての「笑い声」が誕生した。
 そのあと花ちゃんを膝の上にチャンコさせた。オコタの蒲団との間で折畳まれたように縮こまって遊んでいる。そのコンパクト花ちゃんを上からスマホで撮った。愛らしさ漂う一枚である。

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