テレビ朝日「やすらぎの郷」2017年09月14日

 今年の4月3日から始まったテレビ朝日の倉本聰のオリジナル脚本ドラマ「やすらぎの郷」をかなり早い時期から観ている。セレブな老人ホームを舞台にした入居者であるリタイヤしたテレビ関係者たちが繰り広げるドラマである。平日お昼の12時半から20分間の帯ドラマで、この放映時間からもターゲットがリタイヤしたシニア層であることを窺わせている。
 このドラマにはシニア層を中心に視聴率をアップする多くの仕掛けがある。何よりも主演の石坂浩二をはじめ浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチスらが共演しシニア世代の郷愁を呼ぶキャスティングである。舞台の老人ホームもその豪華さは別にしてもいつかお世話になるかもしれない施設の実情を窺い知る上で興味深い。何よりも繰り広げられるドラマのが認知症、介護、看取り、遺産相続、断捨離等々、シニア世代に関わりの深いテーマが次々と取り上げられる。
 作者の脚本家・倉本聰は83歳である。主演の石坂浩二は77歳で、演じる役回りは往年の売れっ子脚本家・菊村である。テレビ界を知り尽くした脚本家の目を通して芸能界とシニアライフの様々な物語が描かれる。主人公・菊村のドラマでの言動は作者の倉本総の想いと重なる。シリアスでユーモラスなタッチで描かれるドラマは、シニアライフドラマともいえる新たなジャンルと放映時間の新たなゴールデンタイムを創造したかに思える。