おひとり住まいの高齢男性の消息2018年11月01日

 民生委員として気がかりなのはおひとり住まいの70代以上の高齢男性である。女性と違い男性はご近所とのおつきあいや地域のつながりが希薄である。それだけにいざという場合の連絡が取りにくい。担当地区には5人の方がいらっしゃるが、お二人は深刻な病を抱えてのひとり暮らしである。
 今回の高齢者実態把握調査でそのおひとりとの連絡がどうしてもとれなかった。何度もチャイムをならし固定電話を掛けるが応答はない。数年前からお訪ねしそのつど雑談して気心も知れた方だった。ところが昨年の訪問時には難病を発症し最寄りのかかりつけ病院とも緊急入院の手配を済ませているというお話を聞いていた。それだけに連絡が取れない事態に気を揉んだ。
 思い余ってそのお宅と背中合わせの隣家に電話した。奥さんから「入院されたようだがよくわからない。自治会費を徴収する隣保長さんからようすを聞いた記憶がある」との情報を得た。すぐに隣保長さんに連絡すると「ご本人は入院中で娘さんが定期的に来訪されおり、娘さんの携帯番号を聞いている」とのこと。民生委員としての事情を話し携帯番号を教えていただいた。
 何度かコールしてようやく娘さんと連絡がとれた。事情を話すと見守り活動への感謝の言葉を添えてお父さんのようすを話してもらった。「昨年末に事故に遭いかかりつけ病院に緊急入院した。難病の上に外傷も重く回復も覚束ない。身の回りの世話もあり私の近くの病院に転院してもらった。意識はしっかりしているがもう帰宅するのは難しいようだ」。私からは「気がかりな方だったので事情が分かって良かったです。近くの娘さんに見舞ってもらえるので安心しました。ご存知だと思いますのでお父さんにもよろしくお伝えください」と声を掛けた。
 この経過を通じて、あらためて自治会組織のネットワーク機能の強みを認識した。とりわけ年2回の自治会費徴収時の面談の機会は、見守りという点でも貴重である。超高齢社会を迎えて見守り活動は一層重要になる。民生委員、地区社協だけでなく自治会も含めた重層的な見守りの仕組みづくりが必要だ。