脇本ちよみ著「徒然なるままに・・・」2012年03月28日

 先日のユニトピア篠山で開かれた労働委員会労働者委員歓送迎会の帰路である。一緒になった同僚委員・脇本ちよみさんから自著の「徒然なるままに・・・」と題された小冊子を頂いた。連合大阪の前事務局長で連合の地方組織で初めての女性事務局長に就任された方だ。彼女の事務局長在任中に連合大阪の機関紙「MONTHLY連合大阪」に連載された47のコラムがまとめられたものだ。
 昨日、一気に読了した。コラムのそれぞれに著者のその時々の心情が丁寧に綴られている。労働運動のリーダーという側面よりも40数年に渡って前向きにひたすら働き続けた女性の目に写る心像風景といった趣きが深い。
 著者は32年間を教員として教育現場で奮闘されたようだ。小学校教諭時代の幾つかのエピソ-ドが紹介される。「いじめ」や「クラスでの障害児との仲間意識」などの難問に真正面から向き合って取組む様子が感動的に語られている。
 妻として母として働き続けることの苦悩が吐露される。40年以上前の「女性が働き続けることが当たり前でなかった時代」に働き始めた女性の言葉は重くて胸を打つ。そんな時代に「仕事を辞めるという選択肢は私の中になく、どうしたら仕事を続けられるか?ということをがむしゃらに突き進んできた」という言葉に彼女が歩んできた原点を教えられる。それは、ご主人のサポートや家族たちの理解や地域や職場の支え合いという身近で現実的なテーマとの葛藤であり、その延長線上に「男女雇用機会均等法」といった課題への半端じゃない取組みにつながっている。
 4年間に渡って綴られたコラムの根底にあるものは、連合大阪事務局長という大任を全うした強さと同時に、花をこよなく愛で自然との共生を願う女性らしい優しさである。大任を降り、労働委員会という新たな現場での強さと優しさに期待したい。